このコーナーでは、例会に出品される展示花の中から、誰も振り向かないかも知れないがとても珍しい形態の花、栽培が難しく今回限りの期間限定公開になるかも知れない花、ごく一部のマニアックな人だけが興味を示すような花、そもそも花がついているのかどうかわからない???そのような、人気投票の対象にはなりにくい花、言い換えれば蘭友会会員の趣味の深さ(行き着くところまで行ってしまったとも言うが・・)の真骨頂とも言える花を、さらに担当者の独断と偏向的興味に基づいて取材し展示しています。 例会の展示テーブルではわけのわからない花でも、写真になってゆっくり見ると 「おおっ!!」となるような美形になったり、ますますわけのわからないものに見えたり ・・・・題して「出品花、アッと蘭だム!・無作為抽出ご免被る!!」 選ばれた花ははたして名誉なのかどうか、そのような評価もご覧になる方々の蘭に関する深い造詣とウンチクにお任せ致します。 |
平成16年3月の例会から 今月の担当:三宅八郎(文・撮影) |
1. 珍品セロジネ Coelogyne stenochila (栽培:池上 俊彦) 月例コンテストで珍花賞を受けたセロジネSPの全体像です。筆者の蘭仲間であるセロジネ師匠の調査により、Coelogyne stenochilaという種であることがわかりました。マレー半島の標高2000m付近に生育するクールなセロジネなので、普通のセロジネとはずいぶん草姿が違います。バルブはバルボフィラム、葉はデンドロビウム、花茎は竹串・・・いろいろな要素を含んだ種です。 Coelogyne stenochila |
2:よく見れば・・・ Stelis SP (栽培:島崎純一 ) 月例コンテストで珍花賞に選ばれたStelis SP の花のアップです。草姿は月例コンテストの入賞花をご覧下さい。花のアップをよく見ると、小さな蘭の花がびっしりと付いているのがよくわかると思います。一花茎に100以上・・・どなたか数えていただけるとありがたいのですが・・・ なんだか「トリビアのタネ」のようになってきた Stelis SP |
3:クリオネ Den.puberilingue (栽培:脇本正勝) 最近、例会の花の展示は大型株と小型株を分けて鑑賞しやすくしてあるのだが、この株は巨大なカトレアの間にできた隙間に押し込むように置いてあった。今月は、珍株・奇株のオンパレードで置き場に困るほどであったため、出品者も仕方がなかったのだと思う。 なにしろ、細長い花茎の先についたゴミと勘違いしそうな花ですから・・・ 種名はDen.puberilingue、花径は6mm・・・こんなきれいな花があっても気が付かない、いや気が付けというのも無理か??よく見るとクリオネのようです。見損なった人は写真でお楽しみ下さい。 Den.puberilingue |
4:噛みつきデンドロ Den olivaceum (栽培:笠原隆義) 花に指を入れたらガリッと指先を食いちぎられそうな感じがしませんか?? 種名は Den olivaceum、その他の詳細な情報はありません。 Den olivaceum |
5:イモネヤガラ Eulophia zolingeri (栽培:池上俊彦 ) 月例コンテストで小型株3位に入賞している花ですが、種名と写真だけでは面白くないので、解説を加えるためにこのコーナーにも掲載しました。 種名はEulophia zolingeri、我が国ではイモネヤガラと呼ばれています。いわゆる腐生蘭で、葉はもちろん緑色の要素はなにも持っていない蘭です。地下には、大きいものではテニスボールぐらいの球根(正式には偽鱗茎)があり、これから直接1mぐらいの花茎が伸びて花を付けます。 一年に1ヶ月たらず、花を付けるために地表に出てくるだけで、あとは地下で寝ています。植物栽培という範疇ではおよそつまらないといえなくもないが、ちゃんと栽培する人がいますし、株も売ってもいます。 分布は、九州南部から、東南アジア、ニューギニア、オーストラリアなど、環太平洋弧の東半分に広く分布しています。 Eulophia zolingeri |
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