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会員:香川義熙
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第3回「ピントと絞り」について述べたいと思います。
「ピント」は写真に占める最も重要部分といって差し支えないでしょう。撮影者がその「写真で何を訴えたいか」を意思表示する象徴と言っていいでしょう。プロの先生がアマチュア作品を選ぶのに、第一関門で先ず、ピントの確かでない写真を落としてゆくというぐらい、ピントはその写真作品の要点なのです。
このランの何処に惹かれて撮ろうとしているのか? どの花か? まさに開こうとするこの蕾なのか? 朝日に輝く花弁なのか? 繊毛に覆われた花芽の力強い立ち上がりなのか・・・? その作者の思い入れの部分にピントを合わせる、これが作者の主張なのです。この主張を強調しその部分を浮き上がらせるためには、周囲が余り目だって邪魔をする事があってはいけせん。それにはレンズの絞りが大いに関係するのです。
レンズの絞りは、絞れば絞るほど(例えばF22)被写界深度が深まり手前から奥までピントが合う、逆に絞りを開放(例えばF3.5)に近づければ前後はボケるようになっています。そのボケの機能を生かして主張したい画像を目立たせるのです。 |
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温室内でデンドロビユームの撮影をしてみる。狙う主役は正面の花1輪、左画面はバックがボケて花姿が浮き出ている。右は目的以外の余計な鉢や窓格子が顕わに写り、そのお陰で花の存在を邪魔し、少々煩い画面となったのがお分かりでしょう。両方とも花芯の蕊柱にピントを合わせています。 |
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花の写真で絞り過ぎは画面を冷たく味気なくする。ボケがあるから主役が生きて、脇役も存在価値がある。通常はF5.6中心で撮影し、花が連なっていて或る程度ピントの合った花を並べないと画にならない時、その度合いに合わせて絞り込むようにする。 |
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無言の内に作者の主張が画面で感じられればよい。撮影者のこうした主張を表現するには、カメラの「チュウリップマーク・おまかせ」では不可能なのです。絞り優先(AV)でピントと絞りで作品の表現をイメージして、自ら演出撮影しましょう。
ピント合わせに触れておきましょう。カメラには自動ピントと手動ピント合わせ方式がありますが、何れでもかまいません。模様のない平面な被写体は手動でもオートでも合わせ難い、オートは白い物体や微かに揺れるものは苦手としております。ピントをしっかり合わせても手振れ、被写体ぶれはいけません、最近は手振れ防止カメラもありますが、花撮影には三脚を使い、フレーミングも採光もゆっくり狙って、しっかり構えて写しましょう。 |
(第3回)
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