Cattleya skinneri(カトレヤ・スキンネリー)
カトレヤは、大きく分けると、バルブの先に1枚の葉を付ける一枚葉カトレヤと、2枚の葉を付ける二枚葉カトレヤに大別される。前者には前回取り上げたトリアネーやラビアタが該当し、俗にラビアタ系と呼称され、原種でありながら整形花が多くカラーバリエーションが豊富である。
一方、二枚葉カトレヤは、カラーバリエーションが少なく整形花とはかけ離れた野性味の強い個性的な形の花が多いが、原種好きの栽培家には根強い人気がある。そのような中にあって、花色が多様で多花性であり、大株にして楽しむことも可能なカトレヤ・スキンネリーは、適度な野性味と整形花の持つ華やかさを併せ持つ希有な存在の花である。
Cattleya skinneri 'Heiti Yacobs'

50cmあまりの棍棒状のバルブの上に20cmを超える花茎を立ち上げ、花径7cm〜10cmの明るいラベンダー色の花を10個あまりも付けるので、1本立ちでもとても華やかである。蘭友会でも3月、4月の例会によく出品されが、花径が5本以上もあがった豪華な大株が多く、撮影に苦労させられることが多い。
原種の中では、栽培は比較的容易であり、30%遮光程度の明るい環境で管理する。花が終わる頃には新芽が動き始めるので、植え替えの時期がわかりやすい。花をおろして2週間ほど置けば植え替えをすることができ、東京であればしばらく室内で養生すれば、あとはベランダや軒先で管理することが出来る。Carl.L.WithnerのCattleya and Their Relatives の中には「春は窓辺でよく日に当て、夏はリンゴの木の下につるしておけばよろしい」と書かれてあるので、意外に緯度の高い地方まで戸外栽培できるようである。



C.skinneri の大株作り(例会出品)

Cattleya skinneriはコスタリカの国花で、メキシコ、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、コスタリカ、パナマなど中南米の標高1,250mまでの湿度のある森林の樹木に着生する。George Ure Skinnerがグアテマラで発見し、その株をJames Batemanに送り、彼の著書Orchidaceae of Mexico and Guatemala(1838) の中でその発見者に因んで命名した。通常は紫紅色の中輪花を5〜10輪ほど付けるが、花色には変化が多く、alba, coeruleaなどの個体もある。 (記:三宅八郎)





C.skinneri var.alba

スキンネリー・セルレッセンス(松井紀夫)

 私が蘭友会に入会して間もない1981年10月、鎌倉七里ガ浜にあった鎌倉洋蘭園を訪れた。今となっては種名を思い出すことは出来ませんが、同園のカタログに掲載されていたブルーの花を付ける株の苗を入手することが目的でした。お目当ての苗は既に売り切れで、入手できませんでしたが、「これもブルー系の花が咲きますよ」と園主に薦められて購入したのがCattleya skinneri var. coerulescens 'Orchidglade'でした。
この株は順調に生育し、3年後に初花が開花。淡いピンクがかったブルーの花が「はんなり」という京言葉がぴったりと似合う華やかで明るい雰囲気を醸し出す。株分けやら、バックバルブからの芽吹きなどで株を増やし、現在ではリードバルブ5本の大株が2鉢、コルク付け株、バック吹き株2鉢が手元にあります。バック吹きの株は何株か忘年例会の福引の景品として出品しましたので、会員の中にお持ちの方が居られると思います。

Cattleya skinneri var. coerulescens