Bromheadia finlaysoniana

東南アジアを旅行中、道路脇にArundina graminiforia(ナリヤラン)や Spathoglottis plicata(コウトウシラン)を見かけることがあります。
初めてBromheadia finlaysonianaを見たとき、閉じかかっていたせいも あって、終わりかけたSpathoglottis plicataと思いこんでいました。 ところが、違っていたのです。
ジグザグに伸びた花茎に1輪、まれに2輪、うすくピンクを帯びた白い 花を付けます。NS10cm程度で、白いレリアのイメージです。たくさん 咲けば豪華だと思うのですが、熱帯の花らしく年間を通して1輪ずつ ポツリポツリ咲いて行きます。しかも、1日花で午後には閉じてしまい ます。さらに、数日おきにしか咲かないので、なかなか花にはお目に かかれません。幸い同期して咲くので、まとまった株の花を見ることが できます。





開かれて間もない道路脇の日当たりのよい、やせた土地に見られました。 侵入植物的な側面があり、他の植物が繁茂してくる前までが勝負なの でしょう。林縁でも株を見かけますが、花を見たことはありません。 他の植物の上に花茎を伸ばし、1m程度になります。光さえあれば丈夫で、 結構大きな株も見られます。試しに工場の敷地内に植えたところ、すぐ 活着し花を咲かせました。



結実率はあまり高くなく、果実はめったに見られません。ポリネータ ではないようですが、ハナアブの仲間が花弁をなめて行くのを見かけた ことがあります。香りは感じられませんでした。 ピンクの出方に強弱があるようで、セパルの外側にピンクが強い個体を 見かけました。赤花なんかも出るのでしょうか。



丈夫できれいな花なのですが花期が短いこともあって、日本では未だ紹介 されていません。
シンガポールのガイドブックによると、この園芸的欠点の ためシンガポールでも一部の趣味家の知るところにとどまっているようです。 現地でもしこの花に出会えたら、ラッキーと思うほかありません。

写真・文 中山博史
 

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