バルボフィラム・ロビィの仲間たち
(Bulbophyllum lobbii)
ゴールデンイエローにピンストライプのシャキッとしたダンディフラワー・バルボフィラム・ロビィ。バルボフィラムと言うと、いわゆるランの花形からは相当にかけ離れた形態をしていることや、とんでもない香り・・・ほとんど臭いの範疇であるが・・・を発するものが多いことから、蘭の趣味も相当に行き着くところへ行ってしまった特異な趣味家が好んで栽培する属であると思われがちですが、このキリッとしたダンディなフォルムは蘭に特化した趣味家以外の園芸家にも親しみやすい花です。そして、これから語るバリエーションを見ていただければ、蘭の整形花コレクションに匹敵するおもしろさに開眼させられことでしょう。まだまだ原生種はあると思いますし、他品種の情報をお持ちの方が居られる事と思います。その折にはご一報頂ければ幸いです。


バルボフィラム・ロビィ(Bulbophyllum lobbii)

バルボフィラム・ロビィ(Bulb.lobbii) は、インド、ミャンマー、タイ、カンボジア、マレーシア、スマトラ、ジャワ、バリ、フィリピンと広範囲に自生し、花形、大きさ、色合等、非常にバライテーに富んだ品種群です。特にマレーシアには品種名の付けられていないものの方が多く、又、同一品種内でも個体差があります。それだけに収集の楽しみは、多いと言えましょう。今回は、マレーシア、インドネシア地帯のバラエティを中心に品種紹介していきましょう。>


lobbii No1 'Ike-giant'

(No.1)ボルネオ・サバ州に原生する品種で、lobbiiの中で最大です。NS.10cm、葉の大きさは、8x30cmもあり、又、中には花期が1ヶ月以上の個体もあります。一般に花期が短い属種と言われる Bulbophyllum属の中では、特筆すべき品種です。マレーシア国内では、一般にGiantと言われているので、'Ike-giant'と個体名をつけています。
インターネットの"洋蘭原種写真百貨辞典"によると、Lindleyが1852年命名の'henshallii' の写真に類似しているようですが、詳細写真でないため照合不可能な状態です。どなたかお判りの方が居られましたらご一報をお願いします。(Internet Orchid Species Photo Encyclopedia−http://www.orchidspecies.com/indexbulb.htm


lobbii No2 'Ike- rosea'

(No.2)Sabah原生種でLip周辺がロゼワイン色を彩るNS.5cmの良個体で す。花期は約7日、個体名は、'Ike−rosea'としています。


lobbii No3

(No.3)Borneo Kalimantan(Indonesia)種です。Lip周辺が赤みを帯びた美しい花で、これもSP種です。但し、Petalが後方にそる難点があります。NSは、4.5cmです。


lobbii No4

(No.4)Cameron Highland (Alt..1600m)周辺の原生で、匍匐茎が少し長い種です。NSは、7.5cmです。


lobbii No5

(No.5)Borneo Kalimantan(Indonesia)種で、品種名は、lobbii var.colossusでLindleyが1847年に命名しています。NS,6cmですが、Lower sepals がカールする変わった花形をしています。


lobbii No6

(No.6)マレー半島の中頃に位置するKelantan州の原生種です。SP種なので個体名を'Ike−wine'とつけています。NS,5cmで、Lip周辺のワイン色が美しい品種です。


lobbii No7

(No.7)Indonesia Sumatra島のMt.Keringi原生種で、lobbii の中では特異な花形をしています。撮影角度により様々な花形になり、面白い品種といえましょう。NS,8cmです。


lobbii No8

(No.8)Sabah原生種で開花初期は、レモン色ですが1週間頃からLowersepalとLip周辺が徐々に色づき、レンガ色に変化し定着します。Dorsal sepalとPetalの色は初期のままです。NS,7cmです。


lobbii No9

(No.9)Cameron Highlandの原生種で、Sumatra島のlobbii var, sumatranumとそっくりの花でSP種です。異なる特徴は、写真の通りLower sepal の縞模様は、点が繋がって線を形成している事でしょう。(sumatranumの縞模様は、連続点で線を形成しています。)NS,6.5cmと小振りですが、花形はほぼ円形でバランスの良い花です。色彩は、表現しづらいですが、少し赤みを帯びたチョコレート色です。


lobbii No10

(NO.10)やはりCameron Highland 原生種です。No.9とほぼ同じ大きさで、色合は少し薄く全体の花形が丸味をしたSP種です。No.9,No10 の両種は、花期が約1週間とlobbii の中では、やや短い種です。


lobbii No11

(No.11)Borneo Sabah州の原生種です。NS,6cmと小振りの花でSPです。レモン色で、Petalのストライプが目立つ種類です。


lobbii No12(lobbii var. siamense)

(No.12)lobbii var. siamense です。タイ周辺の原生種で、日本では普及種の1つでしょう。NSは、6cmです。


lobbii No13

(No.13)タイ原産のlobbii です。全体が同色で、又、全体に薄いストライプが入る安定感のある花形をしています。色違いの個体が見受けられます。NSは、6.5cmです。


lobbii No14

(No.14)ヒリッピン、ルソン島の原生種。'facetum'でGarayが1997に命名しており、安定感のある花形をしています(Section:Sestochilus)。NSは、7cmです。


lobbii No15

(No.15)Camron Highlandで入手の品種で、NS,4.8cmの小型SP種です。花全体が黄身色を帯び、よく目立ちます。


lobbii No16

(No.16)Borneo Sabah州原生種。lobbii の中でも、stripe(縞模様)が見事な良品種です。Rolfeが、1905年に clapotense と命名しています。花形、色合、大きさと、又、Lipの形と色合に変化があり個体差がある品種です。写真の株は私が所有している株の中の'No.3'でバランスとLipの色合が美しい一番良い個体です。NS,6.5cmで特に花つきがよく、花期も2週間と長い方です。
                   文・写真:池上俊彦(熱海市)

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