Ancistrochilus rothschildianus
 蘭科植物の中では数少ないcoeruleaの花を探し求めていた頃に、書物の中で始めてこの蘭に出会った。それ以来蘭業者のカタログでAncistrochilus rothschildianusの名前を探し続けた。
1994年頃だと思うが、大場蘭園のカタログにその名前を発見し、早速一鉢購入した。しかしながら、Calanthe,Habebaria等と同様に休眠期に落葉するタイプの蘭の栽培が苦手な私には、この株を大きく育てることが出来ず、3年程で私の温室から姿を消してしまいました。原因は、休眠期の間の潅水にあると思います。一度は栽培に失敗した蘭ですが、立派に栽培されて、独特の色彩を持つ花を沢山咲かせている株を拝見するたびに、機会があったらもう一度挑戦してみたいと思わせる蘭の一つです。
 今年4月に2.5号鉢に2バルブが植え込まれているものを白石洋ラン園で購入しました。この株は2本の新芽が出、その新芽が現在はバックバルブと同じ大きさに生長し、2本の花芽を伸ばしています。今回はどうやら花を見ることができそうです。


Ancistrochilus rothschildianus

 Ancistrochilus rothschildianusは小〜中型の着生蘭で、扁平な円錐形のバルブに2葉を頂生する。アフリカのギニアからウガンダにかけての森林に、樹の幹や大枝に着生している。
1907年にJames O’BrienがWalter Rothschildが開花させたナイジェリア産の株を基に記載した。種名は彼に因んでいる。
 Ancistrochilus属は2種が西アフリカのギニアからウガンダ、タンザニアにかけて分布している。属名はギリシャ語のankistron(=hook,鉤)とcheilos(=lip,唇弁)に由来し、リップの鉤様の中裂片に言及している。Ancistrochilusは1897年にR.A.Rolfeによって記載された。模式種はAncistrochilus thomsonianus。成長期には水を好むが、落葉後は新芽が動き始めるまで殆ど乾燥した状態に保つ。花梗は葉が落ち始めた成熟したバルブの基部から生ずる。
記・松井紀夫

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