Galeandra baueri

Galeandra baueri は草丈 45 cm程の、バルブの先端から生ずる花茎に、黄褐色のセパル、ペタルと白若しくは褐色地に紫を彩るリップを有する華やかな花を数輪つける。 Galeandra 属の模式種で、メキシコからパナマ、スリナムにかけて、標高 800 mまでに分布する。優れた植物学者であり、芸術家でもある Francis Bauer に因んで John Lindley によって命名され、両氏共著の Illustrations of Orchidaceous Plants で記載された。しばしば Gal. batemanii が Gal. baueri の synonym と考えられているが、花の色彩、リップとセパルの形が異なっている。「栽培は容易」と書かれた書物もあるようであるが、私の経験では、少々気難しく、栽培しにくい。特に、落葉し休眠状態となる冬季の管理がポイントとなるように思われる。完全に水を切りからから状態ではバルブに皺がより、かと言って水を遣り過ぎるとバルブが腐ってしまう。その辺の具合が掴み切れない為であろうか、例会や蘭展への出品株が少なく、「幻の蘭」などと言われた事もあるようである。 Galeandra 属は熱帯アメリカに 20 数種が分布しているが、 1830 年に John Lindley によって上記 Illustrations of Orchidaceous Plants の中で設立された。属名はラテン語の galea(=helmet-shaped) 及び andr(=anther) からなり、模式種 baueri の anther cap (葯帽)の形がヘルメット状を成すことに由来する。ある書物によると、 John Lindley が最初に記載した後 48 の種が発表されたが、 Galeandra 属に関する研究論文は今日まで作成されたことが無く、 48 種中 24 種だけが Galeandra 属として認められるに過ぎないとのことである。                  (松井)

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