Leucohyle subulata

 3年前、2003年の春、行きつけの洋ラン園から送られてきたカタログの頁を何気なくめくっていた際に、見慣れない属名があるのに気づいた。カタログには「棒状の葉、花は白地にピンクの斑点が入る。珍品。栽培は容易。」との説明文があり、写真が添えられてあった。「珍品」という言葉に魅せられて、3月に同園を訪れ、早速購入したのが、写真の株である。2.5号のポリポットにバークで植え込まれたものを、転倒防止のため、素焼き鉢に落とし込んで栽培しているが、「栽培は容易。」と記されていた通り、Cattleya並みの栽培管理で元気に生育し、昨年も、今年も、長さ4〜5cmほどの花序を数本株元から下垂させ、可愛い花をそれぞれ数花ずつ付けてくれた。出来るだけ大きな株に育てて、鉢の周囲全体に花を下垂させてみたいと思っている。
 Leucohyle属はベネズエラ、パナマ、コロンビア、エクアドル、ガイヤナ、ブラジルなどに4種ほどが分布する。1845年にO. Klotzschによって記載された。属名はギリシャ語のleukos(=white)とhyle(=wool or stuff) からなり、堅い花軸上の白い羽毛状の羊毛状被覆に言及している。
 Leucohyle subulataはパナマ、ヴェネズエラ、コロンビア、ペルーに分布する。1788年にO. Swartzによって、Epidendrum subulataとして記載され、1865年にH.G.ReichenbachによってTrichopilia属に移され、その後1914年にR. SchlechterによってLeucohyle属に移された。
 上記洋ラン園の昨年度及び今年度のカタログからはLeucohyle subulataが姿を消しており、私の手元にある他の洋ラン園のカタログにもその名を見たことがないので、現在では国内で入手することは難しいのかもしれないが、原種好きの趣味家には、野趣溢れる魅力ある花だと思う。

(松井)

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