今月の花  Encyclia citrine


 Encyclia citrineはメキシコの標高1300〜2,200mの乾燥した樫の樹林に着生し、下垂する。種名citrina(レモン色の)が示す、レモンイエローの良い香のする半開性の花は、銀灰色の葉と良く調和し、見る人の心を魅了する。
 1825年にP. La LlaveとJ. LexarzaによってSobralia citrinaとして記載されたが、園芸では、長らくCattleya citrinaとして扱われてきた。1961年にR. DresslerによってEncyclia属に移された。
 私が蘭友会に入会した80年代には例会に良く出品されていた様に思うが、涼しさを好む性質が災いするのか、最近は目にする機会が少なくなり、蘭園のカタログからも姿を消しているように思われる。写真の株は中村好一氏が06年6月と07年6月の例会に出品され、人気投票3位と2位に入賞した株である。


 Encyclia属は250種ほどがメキシコから南アメリカの熱帯区域に掛けて広範囲に分布する。属名はギリシャ語のenkyklein(to encircle=囲む)に由来し、唇弁の中裂片が蕊柱を囲んでいることに言及している。Encyclia属は1828年にW. J. Hookerによって確立されたが、長らくEpidendrumの亜属と考えられてきた。上記のようにR. Dresslerにより独立した属とする考えが定着した。
 

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