今月の花  Vanda lamellata


 Vandaという属名を耳にした際に頭に浮かぶのは、V. coeruleaやV. sanderiana及びそれらを親とした交配種の華やかな色彩の大輪花である。V. coerulescensやV. lamellataのような小輪のものを眼にする機会は少ない。写真の株は銀座松坂屋での第49回洋蘭展に長井清氏が出品されて、岡見賞を受賞されたもので、15本の花茎が直立した立派な作りであった。

永井清氏出品、
蘭友会第49回洋蘭展、岡見賞受賞
 
石垣市宮良氏出品、
沖縄洋蘭博2008、優秀賞受賞

 V. lamellataはフィリッピン群島及びボルネオ北部原産。花径は3〜5cmと小輪であるが、側萼片の上半分は白色、下半分には栗褐色の斑点が入る。唇弁の中裂片には紫色の斑紋が入る。全体として「はんなりとした」という京言葉がぴったりとする、上品で華やかな雰囲気を醸し出す。1838年にJohn Lindleyによって記載された。
 Vanda属は1795年にW. Jonesによって確立された。インドからフィリッピン、台湾、ニューギニア、オーストラリアにかけての広い地域に50種ほどが分布する。分布域が広いため、生育環境が変化に富み、栽培条件は種によって異なる。
(松井)
 

原種解説の花過去ページへ

トップページへ