Scaphosepalum gibberosum
(Rchb.F.)Rolfe 1890

 今月の花は、Scaphosepalum gibberosum です。シノニムとして Masdevallia gibberosa Rchb.f. 1876 でも知られています。写真は2017年3月の月例会で唐木善孝氏が出品された株です。NSは8p位あったのですが、花弁がステムと同じくらい細いので、たくさんの展示株の中ではあまり目立たない花でしたが、よく観るととても不思議な形をした花でした。ペタルに相当すると思われる弁は、唇のような筒状で水平に伸びて先端が針のように細く伸びています。また、下部のセパル相当の先端が針のように突き出て先端が少し折れ曲がっていて、見れば見るほど面白い花です。写真(上)は、鶴が足を延ばして水平滑空した姿を後ろから見たような形にも見えます。Scaphosepalum gibberosum の自生地は、コロンビアの北西部アンティオキア県で、アンデス山脈の海抜1600〜2000メートルの湿潤な雲霧林のコケむした地域に分布します。栽培者の唐木氏によるとプラ鉢に水苔植えで、カトレヤ類と同じ場所で潅水はいつもたっぷりやって乾かさない。夏季は風通しの良い温室の外で育てている。開花は2月〜4月にかけてステムが伸び続けながら順次開花して長い期間楽しめるとのことでした。クールタイプの属種だと思いますが、日本の夏でも栽培環境、水遣りなどに注意すれば育てられるようです。

栽培:唐木善孝 2017年3月12日撮影・記:冨澤 實

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