Japan Amateurs Orchids Society

こんな花が咲きました

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Cattlianthe Memoria Masaru Kajita


 今回取り上げたのは、カトリアンセ・メモリア・マサル・カジタ(Cattlianthe Memoria Masaru Kajita)です。草丈約50cmとやや小ぶりのカトレヤで、花径13cmほどの中大輪の整形花を1花茎に3~4輪つけます。写真の個体はブルー系の柔らかい色彩ですが、ブルー系としては珍しく喉に黄色を鮮明に彩ります。
 この品種は、カトリアンセ・ブルー・ボーイ(Cattlianthe Blue Boy)という花径7cmほどの中輪多花性のブルー系交配種(下写真の左)と、ワーセウィッチー(Cattleya warscewiczii)という中大輪の原種(下写真の右)を掛け合わせたものです。


 ブルー・ボーイは、カトリアンセ・アリエル(Cattlianthe Ariel)とカトレヤ・エレガンス(Cattleya Elegans(1879))を掛け合わせたもので、前者はグアリアンセ・ボーリンギアナ(Guarianthe bowringiana、下写真の左上、ブルー系の個体もある)とカトレヤ・ガスケリアナ(Cattleya gaskelliana、下写真の右上)という原種同志の交配、後者はカトレヤ・ティグリナ(Cattleya tigrina、下写真の左下)とカトレヤ・パープラタ(Cattleya purpurata、下写真の右下)という原種同志の交配です。


 ボーリンギアナは2枚葉で小輪多花性、ガスケリアナは単葉の中大輪で、アリエルは中輪、やや多花性の品種です。エレガンス(1879)の花は見たことがありませんが、ティグリナが2枚葉で褐色地に暗色の斑点が入る小輪多花性種、パープラタは単葉で大輪ですが弁幅が狭く整形花ではありませんから、エレガンス(1879)は中輪の星形の花でやや多花性の品種だと思われます。 つまり、祖先から考えるとメモリア・マサル・カジタは、中輪でやや多花性の花となる方が自然です。冒頭の写真のような、中大輪の整形花をつける個体は少ないのかもしれません。

<栽培者より>
 この花は、2018年2月GC株で購入した株です。この交配株は、私が倉敷に在住し岡山県洋蘭協会に所属していたときの、この会の同年代の会友だった故梶田優氏の作出された花です。梶田氏は、主にカトレヤやデンドロビュームを栽培されていて、栽培上手な方でした。この交配株を引き取ったフジナーセリー(現在は廃業)が、蘭友会のGC株として提供してくださったものです。
 このような経緯を持つこの株は、私にとっては特に思い入れがある、大事にしている株の1つです。
 (註:RHSの記録を見ると、作出者、登録者共に梶田優氏、登録日は2017年9月26日となっています)

<写真>
Cattlianthe Memoria Masaru Kajita 2024年10月例会入賞花、栽培者:冨澤實
Cattlianthe Blue Boy ‘Sky Pilot’ 2018年11月記念パーティー出品花、栽培者:不詳
Cattleya warscewiczii f coerulea ‘Cielo’ 2021年6月会員提供写真、清水達夫
Gauaarianthe bowringiana 2021年9月例会入賞花、栽培者:鈴木隆夫
Cattleya gaskelliana f coerulea ‘Blue Balls’ 2024年6月例会入賞花、栽培者:堀恵和子
Cattleya tigrina f albina ‘Cetro de Esmelalda’ 2021年7月会員提供写真、清水達夫
Cattleya purpurata f. werkhaueserii 2020年6月会員提供写真、石橋洋二郎

文:古城鶴也 写真:蘭友会 栽培者:冨澤實

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