Japan Amateurs Orchids Society

2025年1月原種紹介

Schoenorchis juncifolia Reinw. ex Blume First published in Bijdr. Fl. Ned. Ind.: 361 (1825).

Schoenorchis juncifolia Reinw. ex Blume First published in Bijdr. Fl. Ned. Ind.: 361 (1825).


 今月紹介するのは、ショエノルキス・ユンキフォリア(Schoenorchis juncifolia)です。ショエノルキス属は、中国南部から東南アジアを経てインドまで広く分布する単茎性の着生らんで、以前はアスコセントラム属(Ascocentrum、現在はVandaに統合されている)とされていたこともありました。現在、Kewでは31種が受理されています。
 ショエノルキス・ユンキフォリアは、サッコラビウム・ユンキフォリウム(Saccolabium juncifolium)とされていたこともあります。種名は「スゲの葉」という意味で、スゲは小さいススキのような草姿ですから、細い葉を表したものでしょう。
 原産地はマレーシアからインドネシア、ボルネオ、スマトラに至る熱帯地域ですが、標高750~1800mの低山帯から亜高山帯に自生するといわれており、中温性であることが予想されます。系統によっては、夏の暑さを嫌う可能性もありそうです。一方、葉は長さ10~15cmの棒状で、直射光が当たるような厳しい環境に生育していることを示唆しています。さらに、単茎性の着生らんであることから多雨または毎日霧がかかるような多湿な環境が想定されます。栽培はかなり難しい部類に入ると覚悟した方が良さそうです。
 初夏に葉腋から花茎を下垂させ、5mmほどの小さな花を多数つけます。写真の個体は紫がかった明るいピンクですが、濃淡の個体差があるようです。

<栽培者からのコメント>
 何年か前にはちのへ洋蘭園から入手したものです。当初、クールタイプと考えていましたが、この株はそれほど暑がりません。中温性で管理しており、夏場の遮光は50%程度。湿度は高く保つようにしています。

2025年2月


栽培者:武井直義 記・撮影:古城鶴也

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