今月は、2025年6月例会出品されたDendrobium vexillarius(デンドロビウム ベキシラリウス)を紹介します。
この個体は花サイズが2㎝程の小さな花ですが、独特な花形で鮮やかなオレンジ色が人目を惹く魅力的な花です。
自生地は、ニューギニア、ニューアイルランド、モルッカ諸島の高地(標高1100〜3500m)で苔に覆われた樹皮などに着生するクールタイプの小型デンドロビウムです。花色はネットで画像検索した限りではオレンジ色だけではなくイエロー、ホワイトやピンク系の花もありました。草丈は13〜25cm程度で、バルブの先端に花が1,2輪着花し、開花期は特になくバルブ完成後一年中いつでも開花します。また、花命は3か月以上で長い間咲き続けるというのも、この種の魅力の一つだと思います。しかしながら、なかなかこの花を見る機会が少ないのは、クールタイプであり、この種を栽培するにはクール温室や、高地での栽培が必要で栽培環境を確保するのが難しいためと思われます。
出品された株は、炭化コルクに水苔で根を覆って着生させた状態で栽培されている株でした。栽培者に栽培環境について確認したところ、冷房設備のあるクール温室で、他のクールタイプと同じ環境で栽培しているとのことでした。また、夜間温度を下げることと、あまり乾かさないように管理することがポイントで、日中は適度な遮光と風通しを良くすれば冷房がなくても大丈夫ということでした。花命は3ヶ月以上という点も確認できました。
デンドロビウム好きは、一度は栽培してみたい魅力的な種ではないでしょうか。
栽培者:武井直義 記・撮影:冨澤 實