例会の人気投票入賞花や記録写真を撮影していると、花全体の形状を正確に追うあまり、花の持つ個性や形態的なおもしろさ、光線との相性等を見逃してしまうことがある。そこで、一つ一つの花の形態的なおもしろさや、光線の使いかたによって蘭の花の個性を引き出す試みをしてみた。ここでは、蘭の花はあくまで被写体であり、図鑑的な視点をかなり排除している。
撮影にあたっては、人工光をいっさい排除し、窓辺や温室内の自然光(反逆光)にオフホワイトのレフ板で前方からの光を補って撮影している。自然光の撮影、とりわけ斜光を使う撮影では、全体に光量不足であるため、デジタルカメラの特性の一つである「ISO感度を撮影途上でいくらでも変えられるという」機能を駆使して撮影した。なお、撮影画像には、レタッチはいっさい加えていないので、添付の撮影データはフィルム撮影時にも有効なデータになると思う。
(撮影・文:三宅八郎)
No.003
レンブラント・イルミネーション
題名:温室残照
夕方の温室に差し込む最後の光線を花弁に写し取ってみた。
種名:Dendrobium aphyllum
栽培:白石洋蘭園
撮影:三宅八郎
カメラ:Canon EOS 10D
レンズ:Canon EF Macro 100mm
シャッタースピード:1/1500
絞り:5.6
ISO感度:800
露出補正:なし(スポット測光)
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