Stanhopea
Stanhopea tigrina

スタンホペア・ティグリナは、メキシコ高地の1200m〜2000mの雲霧林に生育する蘭である。 スタンホペア属は、メキシコからブラジルまでの中南米地域に広く分布し、55種類ほどの原種が知られている。中でもスタンホペア・ティグリナは花が大きく育てやすいことから、我が国でもポピュラーな種である。

この種の発見は古く、1839年にはLindleyによって分類・発表された。分類学上は、Stanhopea nigroviolacea の亜種とされていたが、最近は花弁の黄色みが強く斑紋が細かいものがtigrina、白っぽく斑紋が大きいのがnigroviolaceaと区別されているが、市販されているものはどちらもtigurinaとして扱われているようである。



Stanhopea.tigrina



Stanhopea.tigrina

自生地では、樹幹や大きな枝の付け根、湿った岩の上、等に着生しており、草体の下方に下垂して花茎をのばし、1花茎に1,2個の大きな変わった形の花を付ける。花は、ベージュ地の赤褐色のおおきな斑紋が付き、下向きに開花する。直径3cmほどの丸いバルブの頂部から10cmほどの葉柄を伸ばし、その先に幅15cm長さ40cmほどのエビネに似た葉をつける。花茎は、新しいバルブの基部から草体の下方に向かって生じるため、写真に見られるようなバスケットか底を抜いた鉢に植え付け、吊して栽培する。

栽培下では、夏の終わりに花を付け、日中、バニラ系の強い匂いを発するが、個体によっては腐りかけの果実のような匂いがする。花径は17cmあまりあり、弁質も厚いので見ごたえがあるが、写真を見てもわかるとおり、非常に複雑な形をしていて、美しさよりも珍奇な印象を受ける。惜しむらくは花命が短く、3日ほどでしぼんでしまう。そのため、展示会などに出てくることは希であるが、展示されると必ず人だかりができるほど、強烈なインパクトがある。

栽培は、半日陰(50%遮光)、夏は最高30度以下18度以上、冬は最高18度〜7度程度の環境下で管理し、コンポストをドライアウトさせないように注意しなければならない。スタンホペアは、近縁の属のコリアンテスと並んで珍花、奇花、の代表格である。とにかく、ちょっと見ただけでは、どこがリップでどこがセパルか、蘂柱どっちだろう???と首をひねるばかり。人に見せて自慢しようとすると枯れてしまう。花は下からのぞくようにしなければならない。香りはお世辞にも良いとは言えない。それでも、この花に強烈に惹かれる人は多い。

この記事を書くのに参考にした、「The Astonishing Stanhopeas 」という本は、オーストラリアのスタンホペア・フリーク、John Barnard Greerの著作ですが、それこそ表紙から裏まで、すべてスタンホペアの本です。

参考文献
1: The Astonishing Stanhopeas (John Barnard Greer )
2: The Illustrated Encyclopedia of Orchids (Alec Pridgion)
3: 原種洋蘭大図鑑(白石茂)



Stanhopea.oculata



Stanhopea.oculata

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