Phalaenopsis philippinensisは、フィリピンのルソン島の標高1200m位までの高地にも自生する胡蝶蘭の原種です。原種ですが、Phalaenopsis amabilisとPhalaenopsis schillerianaの自然交雑種とも言われています。胡蝶蘭としては、比較的低温にも耐えられ13℃以上の環境であれば十分に育ちます。
私が育てている株は、葉の長さが25~30cmになる大型ですが、今回紹介するphilippinensisは、高芽の子株2株を流木に着生させたものです。親株は花茎が枝分かれし、20輪以上の花を咲かせますが、この種は花付きが良く、高芽からでた子株でも花を咲かすことができます。写真は、2株で5輪の開花ですが、花のサイズは親株と変わらずNS 8㎝です。花の表面は白ですが、裏面が薄いピンクという色彩で1カ月以上咲き続けるので、流木に着生させた全体の株姿も含めて結構楽しめます。室内栽培では、コンパクトに育てられるのでこのような育て方もお薦めです。
流木は海岸で拾った流木のT字型の部分を高さ約30㎝、幅25㎝に切り詰めたもの使い、着生させる流木側の根元の部分に薄く水苔を巻いて、その上に根を這わすようにしてビニタイで固定し、着生させています。根が伸びだすと流木本体に根が張りついて、本来の着生状態になります。栽培は容易で、暖かい時期はベランダで50%遮光の下に吊るして栽培し、寒い時期は自宅の出窓(無加温)のレースのカーテン越しで良く日の当たる場所で栽培しています。ベランダ栽培中は、朝夕、流木が十分に湿るようにたっぷりの水遣りをします。室内に取り込んでからは、毎日、朝夕のシリンジを行います。周年、週1回は液肥をやるようにしております。胡蝶蘭もこのような栽培で楽しむことができます。
写真撮影:2021年4月10日 冨澤實