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こんな花が咲きました

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Cypripedium Bernd

 今回はシプリペディウム・ベルント(Cypripedium Bernd)を取り上げました。ベルントはドイツ系の男性の人名のようですが、誰なのかは明らかではありません。Cyp. macranthos x Cyp. segawae という交配で、シプリペディウムの改良で知られるフロッシュ(Werner Frosch)によって2001年に登録されました。
 花粉親のCyp. macranthosはアツモリソウ(敦盛草)で、桃色~濃桃色の花です。胚珠親のCyp. segawaeはタイワンキバナアツモリソウ(台湾黄花敦盛草)で、日本のキバナノアツモリソウ(Cypripedium yatabeanum)とは異なり、リップが巾着形で黄色の花をつけます。写真の株は登録とは反対に、花粉親にタイワンキバナアツモリソウ、胚珠親にアツモリソウの白花(fma. album)を用いたとのことで、咲き始めはレモンイエロー、日が経つとリップは白っぽくなります。
 草丈は20cmほど。長さ5~8cm、幅3~5cmで先のとがった卵形の葉を3~4枚互生させ、頂点に花径4~5cmほどのアツモリソウによく似た形の花を1輪つけます。香りはありません。写真で見るとレブンアツモリソウ(Cypripedium macranthos var. rebunense)に良く似ていますが、レブンアツモリソウは草丈が25~40cm、花径は5~8cmほどありますから、それにくらべるとかなり小型です。ただし、寒冷地で栽培すれば、もう少し大きくなるのかもしれません。
 タイワンキバナアツモリソウの自生地は、台湾花蓮県の標高1,000~1,500m程度の地域で、急峻な林下に自生するといわれています。他方、アツモリソウは、ロシアから中国、日本にかけて広く分布しますが、日本では標高1,000~2,000m程度の湿潤な高原に自生しています。
 本種は、人工栽培種なので野生種よりは扱いやすいと思われますが、寒さには強いものの、暑さにはあまり強くないと考えた方が良いでしょう。風通しの良い明るい日陰で管理しますが、強風に煽られることはないようにします。植え込み材料には排水と通気性の良い材料を用い、大きめの鉢に植えつけます。クリプトモス(杉皮)の単用が良いという意見や、断熱性に優れた発泡スチロールの鉢が良いという意見もあります。
 潅水はやや多めを好み、特に成長期には水を切らさない方が良いようです。ただし、夏場は暑いので日没後に潅水した方が良いでしょう。施肥は成長期には切らさないようにし、春~初夏の間、置き肥をするとともに標準の4倍程度に薄めた液肥を潅水代わりに与えます。
 地上部は比較的暑さに強く、フロッシュ蘭園(Frosch Garden Orchid)では露地植え栽培を前提として夏季は33℃以下が望ましいものの、まれに短時間であれば40℃でも耐えるとしています。一方、冬季は2~3カ月の間5℃以下になる方が望ましく、十分な積雪の下であれば―25℃になっても平気だそうです。しかし、地生植物の根は、元々温度変化の少ない地中に張っているものなので、耐暑性、耐寒性共にあまり強くはありません。鉢植え栽培の場合は、鉢の中の温度が気温と同じになってしまうので、気温が高くなる梅雨明け後は、風通しの良い日陰の露地に鉢のヘリまで埋め込んでしまう方が良いかもしれません。
 初夏頃には翌年の芽が地中に形成され、秋まで地上部が枯れなければ、翌年開花する可能性が高いといわれています。いずれにせよ、関東以南の地域では、夏越しがポイントになります。

写真・文:古城鶴也

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