Japan Amateurs Orchids Society

こんな花が咲きました

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Rhyncholaeliocattleya [Rlc.] High Society ‘Sorelis’

Rhyncholaeliocattleya [Rlc.] High Society ‘Sorelis’

Rlc. Orglade’s Chartreuse 2021年蘭友会らん展出品花

Rlc. Pastoral ‘Innocence’(イメージ)

 こんな花が咲きました へ ようこそ 今月は佐藤の温室で咲いているRlc. High Society Sorelisリンコレリオカトレヤ ハイソサエティ ソレリスを紹介いたします。
 恐縮ですが、例会直前に体調に不安を抱えてしまいコロナオミクロン株の全国的な急拡大もあり急遽欠席することとしました。咲いたばかりのSorelisを皆様に披露できなくて残念なことなのでホームページにおいて見ていただけたらと思います。
 この花の解説は作出した須和田農園園主江尻宗一氏にお願いしました。以下詳細な解説をご一読ください。

*  *  *

 この品種は交配番号A1936:1992年12月27日交配、1995年10月に播種をして育成した品種です。交配親は(Rlc. Orglade’s Chartreuse x Rlc. Pastoral ‘Innocence’)になります。
 母体のRlc. Orglade’s Chartreuseはフロリダ州マイアミにあったジョーンズアンドスカーリー社が育種し1983年に登録された品種です。典型的なバチ弁花(リップが三味線を弾くバチのような形をした花)で独特の花型をしたグリーンの大輪花です。花粉親のRlc. Pastoral ’Innocence’は説明の必要の無いくらい有名な冬咲きで丸い花型の白大輪花です。こちらはブラジル・リオデジャネイロのフローラリア社で育種され1961年に登録された品種です。
 Rlc. High Society の交配目的は色彩として少ないグリーン系の大輪花を作ることでした。バチ弁のリップは花型としてはあまり好ましくないため、Rlc. Pastoralの力で花型を良くしつつ明るい緑色の花を期待して交配しています。
 開花してくるとリップが丸くなった花やバチ弁の花が咲いてきました。またRlc. Orglade’s Chartreuseはその親に赤いリップの品種があるためRlc. High Societyにはその赤みが遺伝してリップ先端が赤くなる花も咲いています。
 現在個体名をつけて残している物は4個体あり、‘Anything Fine’は薄いグリーン黄色の花弁に 丸く赤みを帯びたリップの花、‘Aristocrata’は薄グリーンコンカラーで少しリップにバチ弁の雰囲気が残る花、‘Silky Gal’は丸く大きなバチ弁でリップ中央に少しだけ赤みの入る白っぽいグリーン大輪花、そして‘Sorelis’はグリーンベースの色にピンク味のかかる花弁とRlc.Orglade’s Chartreuseそっくりのリップの形にピンク色が入る花になりました。
 最終的には丸い花型の花よりも迫力のあるバチ弁花の方がインパクトが強く、また色彩的にもピンク味を帯びるグリーン花はとても目立つため‘Sorelis’をメリクロンして商品化することになった訳です。審査の基準でいえばあまり望ましくないバチ弁花も、多くの花と異なるという特徴として考えると人気の出る花になったのだと思われます。
 JOGAの審査でも点数で評価するGM~BMには該当せず、特徴ある花として審査員推薦というJCでの入賞となっています。
 なお品種名のHigh Society は花の雰囲気が高貴であったためつけた品種名です。個体名のSorelisは特に意味は無く、思いつきでつけた名前になります。
2009年8月RHS登録 2010年1月JC/JOGA入賞

(ご執筆していただいた江尻宗一氏に改めて感謝を申し上げます。)
2022年1月19日HP作成

解説:須和田農園園主 江尻宗一 撮影:佐藤 攻

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