こんな花が咲きましたへようこそ。今月は佐藤の温室で開花したデンドロビュームの交配種Dendrobium Indoyoを紹介します。
この株は5年ほど前、会員の坪井良二氏からいただいたものです。高芽から育てた小さな株でしたが、成長が早く今では写真のように花がたくさんついた良い株になりました。この株については、昔の会報「蘭友33号・1993年発行」に山本デンドロビューム園 山本二郎氏が簡潔なストーリーを書いておられるのでそのまま掲載することとしました。
ちなみに交配親はDendrobium Felicity × Dendrobium nobile(ここまで佐藤 攻 記)
古き良き時代に生まれた蘭にはロマンや逸話が残っており、このIndoyoにも素晴らしい物語があるのです。当時外交官であった作出者の島津氏が、ご自分が手塩にかけたデンドロビュームの実生株が開花直前になって、英国に赴任することになったのです。同氏は初花が見られないことを大へん残念がられたのですが、ご家族の提案で客船に積み込んで英国行きの途に就いたのです。そして船がインド洋上を航海中に、待ちに待った初花が咲いたのであります。その花は、花弁は清楚な白色で、リップに濃紫紺色の目が入る大へん美しいものでした。船の乗客たちは、その美しさに感嘆の声を上げたのです。島津氏は大へん喜ばれ、初花が咲いた地のIndoyoと名付けて登録発表されました。その後、この品種は日本に里帰りし、多くの愛好家の間で栽培されました。筆者もこの美しくて花付きの良い品種を長く栽培いたしました。(山本二郎氏 記)蘭友33号より転載
2023年3月26日 写真と文 佐藤 攻