今回は、パフィオペディルム・ミヤ・ラブリー・マップ(Paphiopedilum Miya Lovely Map)を取り上げました。花が大きく、花茎は60cmほどもあり、2025年1月の例会でひときわ目立っていました。これはラブリー・トゥデイ(Paph. Lovely Today)という黄色大輪整形花と、マリポエンセ(Paph. malipoense)という花茎の長い原種を交配したもので、2022年に小澤知良氏によって登録されました。片親のラブリー・トゥデイは、1996年に向山蘭園が登録した品種で、ゴールデン・エイカーズ(Paph. Golden Acres)という黄色大輪系の往年の銘花の血を引いています。
上の2枚の写真は2024年の第78回JOGA洋らん展で撮影したものです。左側は会友の花房英美氏が出品したマリポエンセですが、このように非常に花茎が細長いのが特徴です。
右側は、小澤氏が展示したミヤ・ラブリー・マップの兄弟株ですが、こちらの花茎は短めです。
下の写真は、2023年の世界らん展で日本大賞に輝いたエメラルド・フューチャー ‘グリーン・モンスター’(Paph. Emerald Future ‘Green Monster’、高橋昌美氏出品)です。エメラルド・フューチャーはマリポエンセの孫にあたりますが、やはりマリポエンセほどには花茎が伸びないようです。冒頭の写真の個体の花茎の長さは特筆すべきなのかもしれません。
一方、これらの花に共通している特徴はリップの形です。光沢のある上がすぼんだ袋状となっていますが、マリポエンセの巾着型とはなりません。
〈栽培者より〉
3、4年前に小澤蘭園で実生の初花を見て、面白いと思って未開花の兄弟株を購入しました。初花は弁幅が狭く貧相な花でがっかりしましたが、もう一作してみてから判断しようと辛抱して栽培したところ、今年は一回り大きく、弁幅も広く咲いたので驚きました。我慢が報われた気がします。
2025年1月27日
栽培者:丹羽一樹 記・撮影:古城鶴也