Japan Amateurs Orchids Society

2022年10月メキシコの野生蘭

Barkeria Knowles & Westc 1838

 以前はEpidendrum属に分類されていましたが、現在、Barkeria属に分類され18種が認められています。これらは、最近( 2021年)メキシコのミチョアカン州で発見されたBarkeria uruapani も含めたものです。自生地はメキシコからパナマまでの中米に限られています。笹の様に細長いバルブは伸長し、成熟してくると花茎の先端に複数の花を付けます。多くの種が太い根を持ち木の枝や岩などに自身を固定すると共に、空中に張り出し気根の役目をします。
 現地では冬季に葉を落として休眠します。

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Barkeria barkeriola

Barkeria barkeriola (バルケリア バルケリオラ)Rchb.f.1884
 メキシコ固有種。シナロア、ナヤリ、ハリスコ、コリマ州の太平洋側、標高600~1,100mの山腹に茂る灌木に着生しています。リップの先端に濃いピンク色の模様があり人目をひきます。シースに包まれた細いスピンドル型のバルブは20cm程に伸び、数枚の被針形の葉を互生につけます。通常、自然界では葉は花が開く前に落ちますが、温室等で栽培する場合、開花しても葉が落ちずに付いている場合があります。花期の前にバルブの先端から20~30cmの長さに花茎が伸びて複数の花を付けます。花は夏から秋にかけて開花します。
 B.barkeriolaと外観が酷似したB.unifloraは花の内側の細部が異なり、自生地も上述の4州に加えミチョアカン、ゲレロ、オアハカ州、また、中米諸国などにより広範囲に分布しています。花期は春です。

Barkeria obovata

Barkeria obovata(バルケリア オボバタ)Christenson 1989
 メキシコ、及び、中米諸国に分布。メキシコでナヤリ、ハリスコ、コリマ、ミチョアカン、ゲレロ、オアハカ、チアパス州の太平洋側の標高300~800mの灌木に自生します。ペタル、セパルは白色で、リップは中心に黄色の筋があり両側は赤褐色の斑点があります。花は完全に開かない場合が多いです。花期は12月から2月の乾季です。

Barkeria scandens

Barkeria scandens(バルケリア スカンデンス)Dressler & Halbinger 1977
 メキシコ固有種。ミチョアカン、ゲレロ、オアハカ州の標高1,000~1,900mの灌木の茂みに自生します。花は秋に開花します。多くのBarkeria属の根は灌木の細い枝等に巻き付いてバルブを固定するとともに、空中に張り出して空気中の水分を吸収します。そのため、Barkeriaの栽培には鉢植えよりもコルク等に付けたほうが良い結果が得られます。

Barkeria skinneri

Barkeria skinneri(バルケリア スキンネリ)(Bateman ex Lindl.)Paxton 1849
 メキシコのチアパス州からグアテマラの北部にかけて標高900~1,900mの岩や落葉樹林に着生しています。リップの中心部に黄色味を帯びた筋がリップの根元から数本出ていますが、それ以外のリップの色はセパル、ペタルと同じピンク色です。花期は秋から冬にかけてです。

Barkeria spectabilis

Barkeria spectabilis(バルケリア スペクタビリス)Bateman ex Lindley 1842
 メキシコのチアパス州からグアテマラ、エルサルバドルにかけて標高1,300~3,500mの灌木の茂みに自生しています。花は夏に開花します。
 このBarkeriaはメキシコの固有種ではなく隣接するグアテマラ、エルサルバドルにも分布していますが、リップが目立つ種です。リップの淵は薄いピンク色で縁取られ内側により濃いピンク色の斑点が散らばります。
 夏にチアパス州の観光地サンクリストバル・デ・ラス・カサスの町へ行きますと、近くの山あいの村から町に出てくるマヤ族の女性達がB.spectabilisの切り花を籠に一杯入れて売り歩きます。

死者の日の花の祭壇(個人の家庭)

死者の日の花の祭壇(個人の家庭)
 メキシコでは、毎年11月の1日と2日は「死者の日」とされています。人々は墓地に行ったり、家の中に花でいっぱいの祭壇を飾り付けて死者の訪れを迎えます。ちょうど日本のお盆に当たる祭りで、各家で作られる祭壇の飾り付けはそれぞれ思い思いに工夫がなされています。祭壇に飾られている花は全国的にみると、マリーゴールドの一種のセンパソチル、ケイトウが多いようです。南部地方ではLaelia arbidaなどの野生ランが見られ、中央部では野生ランの代わりに、主にグラジオラス等が飾られます。

チアパス州のパレンケ遺跡

チアパス州のパレンケ遺跡
 メキシコの東南部チアパス州にあるマヤの遺跡です。まず、この遺跡を訪れ驚くのは写真にある様に中央の宮殿に展望台(天体観測用)のような塔があることです。これはマヤの遺跡の中でも特異な形です。パレンケはマヤの古典期(西暦300~900年)に存在した古代都市で西暦600年前後が最盛期と言われています。未だ、50%以上の遺跡が未発掘で土に埋もれています。また、この遺跡は熱帯林の中にあり周囲には野生ランが数多く生息しています。

ミチョアカン州ウルアパン市の市場

ミチョアカン州ウルアパン市の市場
 ミチョアカン州は民芸品が有名で、州内の各都市でそれぞれ独自の民芸品を作っています。木工品、銅製品(手作り)、織物、土器、羽根細工、塗り物、わら細工など沢山あります。特に土器は多彩で、村ごとに形も図案も異なった作品を生み出しています。毎年3月には州内の民芸品を集めた市場が開かれて、品評会も催されます。

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