1828年にWilliam J. HookerがEpidendrum属から再分類した属です。この属には200前後の種が含まれています。バルブを持っていること、茎の先端に花茎が出ること、花の直径が2インチ以内であること、リップがずい柱から完全に離れていること、4個の花粉塊があること等がこの属の特徴と言われます。
Encyclia はメキシコから南の中南米に分布していて多くは着生ランです。Encyclia属から更に再分類されてProsthechea等の新たな属に編入された種もあります。
Encyclia adenocarpa(エンシクリア アデノカルパ) (Lex.)Schlechter 1914
メキシコからニカラグアに至る中米の標高1,200mまでの樹木や岩に着生しています。1m程にのびる花茎に3cm前後の花を多数つけます。花期は春から夏にかけてです。
Encyclia adenocaula(エンシクリア アデノカウラ) (La Llave & Lex.) Schlechter 1918
メキシコの固有種。 ドゥランゴ、シナロア、ナヤリ、ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ州の標高1,000m~2,000mの湿度の少ない森の松やオークの樹木に着生しています。夏に開花し花もちが大変良いです。個体により花の色に濃淡があり、稀に白色(alba)も発見されています。
Encyclia alata(エンシクリア アラタ) (Bateman)Schlechter 1914
メキシコからパナマに至る中米諸国に分布し、標高1,000mまでの樹木に着生しています。香りのある5cmほどの花を沢山つけます。リップの両側にある白色またはベージュ色の翼が大きく開いているのが特徴です。花期は春から秋にかけてです。
Encyclia ambigua(エンシクリア アムビグア) (Lindley)Schlechter 1914
メキシコのチアパス州からベリーゼ、グアテマラ、ホンジュラスの標高1,000m~1,500mのコナラ(Encina)の森に着生しています。Encyclia alataと似ていますがEncyclia ambiguaは花弁、萼片の色が黄緑でリップに走る線が繋がっていません。直径4cmほどの花を数十つけ一度に開花します。花には強い香りがあり春から夏にかけて開花します。
Encyclia cordigera(エンシクリア コーディゲラ)(Kunth)Dressler 1964
メキシコから南米北部に至る広い地域の標高900mまでの森林に自生しています。冬から春にかけて香りのある花をつけます。リップの色が濃いピンク色から白色まで変化が大きいので分類上別の種と考えられたこともあります。育て易い強健種です。
Encyclia diota(エンシクリア ディオタ) (Lindl.)Schltr. 1918
メキシコから中米にかけて標高200m~1,800mのオーク林に着生しています。
リップの両翼が耳のように見えることから二つの耳を持ったエンシクリアと呼ばれることがあります。春に開花する花は香りがあります。
Encyclia hanburyi(エンシクリア ハンブリ) (Lindl.)Schltr. 1914
メキシコ及びグアテマラの標高1,200m~1,800mに自生しています。地生ランとして生息していますが、時には、岩や樹木に着生していることもあります。冬の終わりから初夏にかけて開花します。
Encyclia incumbens(エンシクリア インクンベンス) (Lindl.) Mabberley 1984
メキシコ、グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドールの標高750m~2,100mのオークと松の林に着生しています。花茎は1mほどに伸び数十の花をつけます。花は春に咲きます。
Encyclia microbulbon (エンシクリア ミクロブルボン) (Hook.)Schltr. 1918
メキシコの固有種。ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、モレロス、オアハカの各州の標高1,400m~2,300mに自生します。バルブは円錐形で成長と共に大きくなりますが形は変えず同方向を向いて整然と並びます。花も派手ではありませんが星状に開くセパル、ペタルは殆ど形を変えることはありません。小型ながら株全体が一種の威厳を醸し出しているように見えます。
Encyclia tuerckheimii(エンシクリア ツエルクヘイミイ) Schltr. 1918
メキシコのオアハカ、チアパスの両州とグアテマラの標高1,400m~2,300mの雨林に着生します。低温で湿気のある環境を好みます。約20cmに伸びる披針形の葉は厚みがあり硬質です。春から秋にかけて柑橘類の香りを出す花を咲かせます。
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