写真・解説文:齋藤 清
メキシコから中米のコスタリカ、また、南米のベネズエラに自生する着生ランです。現在、この属の中には19種がKEWにより認められています。Rhynchosteleの多くは標高2,000m以上の高地に自生しているため、年間を通じて、又は、年間の一定期間を涼しい環境の中で生きています。そして、メキシコに自生しているRhynchosteleは小型種が多いです。
Synonymとして、Lemboglossum rossiiとかOdontoglossum rossiiのように、Lemboglossum, Odontoglossumの属名が使われています。 これはRhynchostele属の種がLemboglossum属やOdontoglossum属から再分類されたためです。
Rhynchostele aptera(リンコステレ アプテラ)(LEX.) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコの固有種です。 シナロア、ドゥランゴ、ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、モレロス、オアハカ州の標高2,000-2,800mのオーク林に自生しています。花期は主として春ですが年間を通じて開花することもあるようです。
Rhynchostele bictoniensis(リンコステレ ビクトニエンシス)(Bateman) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコから中米のパナマにかけて、標高2,000-3,200mの湿度のある森林に着生、又は、岩などに自生しています。冬から春にかけて開花します。
Rhynchostele cervantesii(リンコステレ セルバンテッシ)(La Lave & Lex.) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコの固有種です。ナヤリ、ドゥランゴ、ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、モレロス、オアハカ州の標高1,400-3,200mのオーク林や松林に自生しています。上掲の写真はメキシコ市から南に走る高速道路脇の3,100m前後の高地にある松林に自生しているRst. cervantesiiです。メキシコ市は大きな盆地の中にあって、南方、東方、西方の三方向へ出るのに3,000mを超える峠を越えなければなりません。
Rhynchostele cordata (リンコステレ コルダタ)(Lindl.) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコから中米諸国、ベネズエラにかけての地域の標高1,900 – 3,000mの霧が発生する森林に自生します。花期は春です。
Rhynchostele ehrenbergii (リンコステレ エレンベルギィ)(Link, Klotzsch & Otto) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコ固有種です。プエブラ、ベラクルス、オアハカ州の標高2,000-2,400mに自生します。この種はRhynchostele rossiiによく似た花ですが花やバルブの大きさが小型です。Rst. rossiiの花が6-8cmであるのに対して、Rst. ehrenbergiiの花は5cm程度です。春に開花します。
Rhynchostele maculata (リンコステレ マクラタ)(La Lave & Lex.) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコと隣国グアテマラの1,750 – 3,000mの霧の出るオーク林に自生しています。メキシコ国内ではハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、ベラクルス、オアハカ州が自生地です。秋から春にかけて開花します。
Rhynchostele majalis (リンコステレ マジャリス)(Rchb. f.) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコのチアパス州からグアテマラにかけて標高2,750 – 3,000mの森林に自生しています。春に開花します。
Rynchostele rossii (リンコステレ ロッシー)(Lindley) Soto Arenas & Salazar 1993
メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグアの標高2,000-3,000mに自生します。冬から春にかけて開花します。 Rst. rossiiは比較的に育て易い種であるため、メキシコのRhynchostele属の中では最も多く園芸種として普及している種です。
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