写真・解説文:齋藤 清
現在、Rossioglossum属に含まれている種は、以前はOdontoglossum属に分類されていました。その後、1976年にL.A.GarayとG.C.KennedyによりRossioglossum属に再分類されました。
この属に含まれる種の数は、KEWによると12種です。その内、メキシコには5種が自生しています。自生地はメキシコから中米諸国、南米のベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルーに広がっています。
Rossioglossum grande(ロシオグロッサム グランデ)(Lindl.) Garay & G.C.Kenn. 1976
メキシコのチャパス州、グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカの標高1,400 – 2,700mに自生します。蝋質で肉厚な花は大型で15cmを超える大きさにもなり、俗称「タイガー・オーキッド(Tiger Orchid)」とも呼ばれ、大変人目を引く花です。セパル、ペタルはクリームがかった黄色で茶褐色の斑紋があります。リップは白地で付け根に茶褐色の斑紋が輪を描くように入ります。
バルブはグレー系の緑色で4-10cmのサイズです。秋から冬にかけて開花します。
Rossioglossum insleayi (ロシオグロッサム インスレイ)(Baker ex Lindl.) Garay & G.C. Kenn. 1976
メキシコの固有種です。メキシコの南西部(ゲレロ、ハリスコ、ミチョアカン、オアハカ州)の標高2,500mまでのオーク・松林に自生しています。葉とバルブがグレーがかった緑色をしていることは他のRossioglossumと同じです。秋から冬にかけて開花します。
Rossioglossum splendens(ロシオグロッサム スプレンデンス)(Rchb.f.) Garay & G.C.Kenn. 1976
メキシコの固有種です。ナヤリ、ハリスコ州の大平洋側スロープ、標高1,300 – 2,000mのオーク・松林に自生しています。自生地がメキシコの中西部の2州に限られ個体数も少ないと考えられています。秋に開花します。
Rossioglossum williamsianum (ロシオグロッサム ウイリアムシアヌム)(Rchb.f.) Garay & G.C.kenn.1976
メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの標高1,000mまでの森林に自生しています。メキシコに自生する他のRossioglossum属に比べて高度の低い地域で自生している種です。花期は春から夏です。
花はRossioglossum grandeと似ていますが、ずい柱の下にあるカルス(callus)の両端の翼が長く内側に巻き込んでいることが相違点としてあげられます。その他、花のサイズがRossioglossum grandeに比べて小ぶりであることや、花期の違いがあります。
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