Japan Amateurs Orchids Society

コアツモリソウを見に山に登る

コアツモリソウを見に山に登る

 5月末のある日、念願だった「コアツモリソウ」[Cypripedium debile]を見に行くことができた。私にとってクマガイソウで馴染みのあるN氏がガイドをしてくれた。同行するのは近県から来た女性二人。N氏が見つけた自生地ゆえ詳しい場所を述べることはできないので、山梨県の某所としておく。
 N氏を先頭に1時間ほど山登りすると檜林の木漏れ日の中ギンランが出迎えてくれた。さらに進むとキンランも見つかる。私の住む山梨県東部ではゴールデンウイークころキンラン、ギンランを見ることができるが、当地では1月遅れての開花だ。

ギンラン キンラン

 歩を進めると、ア、あった!とN氏の声。しかし肝心の花はなんと小さくて可愛らしいことか。初対面の偽りのない感想である。花は柔らかな花茎をダラリと垂らすように下向きにして咲く。間伐して木漏れ日が入る檜林であるが、日光が当たるところより薄暗いところに株が集まっている。小さくて光沢のある二枚葉が特徴で高さは10センチほどである。
 自生地は日本各地に点在するが、花容、大きさに等に若干の違いがあるという。この場所の標高はおよそ800m~900mほど。

コアツモリソウ[Cypripedium debile]

少し薄暗いところを好む

 N氏との会話で印象的だったのは、アツモリソウ以外で個体数を減らしているのはスズムシソウだ。とのこと。盗掘もあるが、ヤッパリ温暖化の影響が大きいんじゃないの。とも。今度機会があったら、クモキリソウを見に行こうと約束をいただいた。楽しみにしたい。

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Cypripedium debile主な自生地は日本のほか台湾、中国。小さくて地味な花なので一般的な観賞価値の高い種ではない。環境省の準絶滅危惧指定 種名のdebileには弱いとか虚弱との意味合いがある。

撮影と文:佐藤 攻

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