今月の花は、唐木善孝氏出品のPhalaenopsis lobbii (Rchb. f.) H.R. Sweet 1980のシノニムPhalaenopsis lobbii f. flavilabiaを選んでみました。この花は、シノニムとしてはDoritis lobbii f. flavilabia (Christenson) T.Yukawa & K.Kita 2005で分類されておりましたが、属名DoritisはPhalaenopsisに変更されており、現在は、Phalaenopsis lobbii f. flavilabiaとなっております。
Phalaenopsis lobbiiは東部ヒマラヤ、インド北東部、ブータン、シッキム、ミャンマー、ベトナムにかけて粗い樹皮や節くれだった樹木の苔むした湿気の多い箇所に自生している蘭です。Phalaenopsisとしては葉が4~6cmと小さく、花も1cm~1.5cmの小さな花です。写真の花は、小型株展示の中で、ひっそりと咲いていましたが、よく見ると花の中央が小動物の顔のようにも見え、興味を惹く花です。また、Phalaenopsis lobbiiは、花弁全体が白地でリップ両端に茶系の色彩が縦に入るのが特徴ですが、この花はリップ両端が淡い黄色でとても可愛い花です。栽培者の唐木氏に伺ったところ、昨年末に購入し、温室内の小型株を栽培している場所に置いて同じ管理で栽培しているとのことでした。
2020年3月15日須和田農園 にて
栽培:唐木善孝 撮影:古城鶴也 記:冨澤 實