Japan Amateurs Orchids Society

2020年9月原種紹介

Erycina pusilla. (L.) N.H.Williams & M.W.Chase 2001

Erycina pusilla (L.) N.H.Williams & M.W.Chase 2001

 エリシナ・プシラ(Erycina pusilla)は、1763年にエピデンドルム・プシルム(Epidendrum pusillum)として記載されましたが、1799年にはシンビディウム属となり、1837年以降はオンシディウム・プシルム(Oncidium pusillum)として扱われていました。現在のエリシナ属となったのは2001年と比較的最近のことです。
 メキシコからブラジルにかけて中南米の広い地域に分布し、主に標高500~900mの熱帯雨林やコーヒー農園、牧草地などの茂みや樹上に着生しているようです。
 草丈5cmほどの小型のらんで、剣形の扁平な葉を扇状に展開するユニークな草姿をしています。不定期に葉の付け根から花茎を出し、花径1cmほどのオンシディウムに似た黄色の花を1輪つけます。花命はそれほど長くはありませんが、花径を伸ばしながら次々と開花するので1年中楽しめます。
 栽培は、高温多湿で明るい風通しの良い環境を好むとされ、温度は15℃以上、日照は冬季50%、夏季70%遮光程度の明るい日陰で栽培します。根も通気性を好むので、水はけのよい材料でバスケットなどに植えるか、バークやコルクに着生させて育てます。植え込み材料が古くなると根痛みしやすいようで、水苔植えの場合はこまめな植え替えが必要です。
 なお、栽培者の冨澤氏によれば、外気温が15℃以下の時は日当たりの良い室内、温かい時期はベランダの50%遮光下で栽培しているとのことです。文献に書かれているほど高温多湿ではなくても育ちますが、日差しは強めの方が花付きが良いようだとのことでした。

2020年9月20日サンシャインシティ会議室にて


栽培:冨澤 實 撮影・文章:古城鶴也



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