Japan Amateurs Orchids Society

2022年1月原種紹介

Oncidium roseoides M.W.Chase & N.H.Williams, Lindleyana 21(3): 26 (2008).

Oncidium roseoides M.W.Chase & N.H.Williams, Lindleyana 21(3): 26 (2008).
Oncidium roseoides M.W.Chase & N.H.Williams, Lindleyana 21(3): 26 (2008).

 オンシディウム・ロゼオイデス(Oncidium roseoides)は、「ピンクのオンシディウム」という意味で、花の色に由来したものでしょう。1845年にオドントグロッサム・ロゼウム(Odontoglossum roseum)として登録されましたが、1954年にオンシディウム・ロゼウム(Oncidium roseum)、1872年にメソスピニディウム・ロゼウム(Mesospinidium roseum)と変遷した後、1886年以降はコクリオダ・ロゼア(Cochlioda rosea)となっていました。2008年に現在の名前となりましたが、疑義を唱える学者もいるようで、現在もオドントグロッサム属やコクリオダ属としているウェブサイトがあります。今後、また属名や種名が変わる可能性があるのかもしれません。

 原産国は南米のエクアドル南東部やペルー、コロンビアで、標高1500~2000mの非常に湿度の高い林に自生しているといわれています。場所によっては3000mを超える山岳地帯で見つかることもあるようです。

 バルブは、やや扁平な卵形で高さ3~5cm。葉はバルブの左右と先端から生じ、薄手の革質で細長く、先端はややとがり、長さ5~15cm、幅1.5cm程度。バルブの付け根の葉腋から30cmほどの細い花茎を斜上させ、1花茎に10数輪をつけます。花径は2~3cm程度。ペタルとセパルは細長い紡錘形の明るい紅色で星形に平開します。リップは同色で、やや肉厚です。

 栽培は、難易度が高い部類に入ります。寒さには比較的強く、10℃をやや下回る程度まで平気なようですが、30℃を大幅に上回るような暑さは苦手です。夏は冷涼な地方へ山あげするか、もしくは冷房温室が必要だと考えた方が良いでしょう。自生地の湿度は1年中70~80%あるようで、冬の乾燥にも注意が必要です。水やりは、湿潤を好みますが、根が湿ったままの状態は好まないようです。そのため、コルクなどに着生させて、毎日灌水するのが良いとされています。肥料は、成長期にごく薄いものを潅水代わりに与えます。

<栽培者からのコメント>
 この株は、らん展でエクアジェネラ社(Ecuagenera Cia. Ltda.)からオンシディウム・ロゼウムとして購入したものです。’エクアジェネラ’という個体名が付いており、自社の名前をつけるのですから、相応の良個体なのでしょう。夏場は山あげをしていますが、それ以外は普通の手入れをしており、特別に何か気を付けているということはありません。この度は蘭友会の原種紹介に取り上げていただき、とても光栄に思います。

※エクアジェネラ社は、エクアドルを代表する熱帯植物と蘭の取扱業者で、種の保存や育種と普及に力を入れています。エンジェル・アンドレッタ神父は、1950年代からエクアドルでらんの調査と蒐集を始めました。そのコレクションを保存するため、1992年に設立されたのがエクアジェネラ社の始まりだそうです。(同社のホームページから抜粋)

栽培・高橋洋三 写真・文:古城鶴也

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