Japan Amateurs Orchids Society

2022年5月原種紹介

Dendrobium smillieae F. Muell. 1867

Dendrobium smillieae F. Muell. 1867

 今月の花は、Dendrobium smillieaeの紹介です。この種は、オーストラリアのクイーンズランド州、パプアニューギニアに自生する着生蘭です。自生地の標高はおよそ600m未満。熱帯雨林から開けた低地帯の木の幹および堆積物のある岩盤などに着生しています。今回紹介する株は、太いバルブ(直径が約2cm)で草丈が1.5m以上成長し、大変大柄な個体です。花は葉が枯れ落ちた古いバルブに着花します。数年前の古いバックバルブにも着花するのでバックバルブが完全に黄色に枯れるまでは、切らないようにします。1バルブにせいぜい2~3花茎の着花なので大株にしないと一度に多くの着花状態が見られないようです。花は、NS1.5㎝程の小さな花ですが、1花茎におそらく50~80輪くらいの花が筒状(直径が約10㎝で長さが7~12㎝位)にびっしりと咲くので非常にボリューム感のあるインパクトのある花になります。
 この花との出会いは、ワシントン条約を日本が批准した1980年より前に輸入された株を入手し、その翌年に初めて着花し、神戸のらん展に出品しPC/JOSのメダルを受賞したのが始まりです。しかし、現地由来の株だったためか、新芽が出て間もなく枯れてしまいました。その後、このデンドロが欲しく探しましたが、全く手に入りませんでした。2015年の世界らん展で日本大賞を受賞したスミリエが記憶に新しいですが、この頃に30㎝程の実生苗を入手したのが写真の株です。並行して、国際園芸さんから、開花株を入手することができましたので、現在このような大株を2株育てています。高温性のデンドロなのですが、スパチュラ―タ系とは違って、比較的寒さに強いです。育てている温室は、最低温度12℃くらいでまで下がりますが、寒い間は水を控えめにして育てれば、大丈夫なようです。育て方はよく解かっていませんが、冬季の水遣りに気を付けるくらいで、カトレヤ等と同じ場所で管理しています。#Dendorobium

2022年5月31日

栽培者・撮影・記:冨澤實

原種解説の花過去ページへ トップページへ