バンダ・テッセラ―タ(Vanda tessellata)は、1795 年にエピデンドラム・テッセラトゥム(Epidendrum tessellatum) として報告されたのが最初です。その後、シンビディウム属(Cymbidium tessellatum)やエリデス属(Aerides tessellata)として扱われることもありましたが、現在はバンダ属になっています。
テッセラ―タとは、ラテン語で市松模様のことです。英語ではThe Lattice-Like Patterned Flower Vanda、つまり格子状の模様のある花のバンダと呼ばれ、いずれも花に網目模様が入ることに由来しています。写真は2 個体とも斑点や網目が目立ちませんが、もっと模様のはっきりした個体も多いようです。
原産地は中国からミャンマー、スリランカ、インド、ネパールに至る広い地域で、標高1500m 程度の高山帯に自生していると言われています。
草姿は普通のバンダと同様で、15~20cm 程度の葉を左右に互生します。葉のついている部分は30~60cm ほどで、古い葉は下から順次枯れ落ちて太い気根を生じます。不定期に上部の葉腋から20~30cm の花茎を直立させ、径5cm ほどの花を10 輪前後つけます。ペタルとセパルは黄褐色~緑褐色地に紫褐色の斑点や網目模様が入り、リップは鮮やかな紫色です。写真の個体は、片方が淡色、片方が濃色の個体ですが、ともに斑点や網目模様が少ない系統のようです。このほか、花弁が肉厚なので比較的花持ちが良く、とても良い甘い香りを強く放つ特徴があります。
栽培はバンダに準じ、明るく木漏れ日がさすような環境で管理します。温度は、中~高温性として扱われることが多いようです。水やりは、毎日株全体にたっぷりとかけるか、大きめのバケツに水をためて株全体をつけるようにします。施肥は、気温が高い時期に4000倍程度の薄い液肥を、潅水代わりに与えます。原産地を考えると、比較的寒さに強い可能性がありますが、耐寒性についての記述は見当たりませんでした。
<栽培者から>
植え替えが不要な、バンダやファレノプシスを中心に栽培しています。写真の株は、色の薄い方(横長の画像)は海外の業者から、濃い方(縦長の画像)は国内の業者から入手したものです。バンダ・テッセラータはこのほかにもあり、全部で4~5 株栽培しています。管理は他のバンダと同様にしており、温度は18~20℃以上を保つように心がけています。昨年は、何が気に入らなかったのか全然咲きませんでしたが、今年は2 株が同時に咲いてくれました。
栽培:木本博佳 写真・文:古城鶴也