Japan Amateurs Orchids Society

2023年2月原種紹介

Bulbophyllum occultum Thouars 1822

Bulbophyllum occultum Thouars 1822


Bulbophyllum occultum Thouars 1822

 今月の原種紹介では、Bulbophyllum occultum(バルボフィルム・オクルトゥム)という、一風変わった花をご紹介します。オクルトゥムとは、ラテン語で「隠れた」という意味で、花が苞の下に隠れて咲くことに由来したものでしょう。マダガスカルの原産で、沿岸の低地から標高1500mくらいまでの間の湿った常緑林に自生していると言われています。
 バルブは4つの角がある卵形で、高さ約5cm。バルブの先端に長さ10cmほどの長い楕円形で革質の葉を2枚つけます。不定期にバルブの根元から花茎を伸ばし、断面が三角形で長さ15~25cmほどの花の房をつけます。花の房は角があるウロコのような3列の苞で覆われており、写真の株では緑色ですが、紫褐色を帯びる個体もあるようです。花は3mmほどと小さく、苞の内側の付け根部分で開花するので、狭い隙間から覗いても花の全容を知ることはできません。どうしても見たければ、苞を剥がすしかなさそうです。株元に近い方から順次開花してゆくので、開花期はかなり長期に及びます。
 栽培は他のバルボフィルムと同様で、日陰の場所で管理し、湿潤を好みます。匍匐茎がやや長いので、すぐに鉢の外へ飛び出してしまいますから、ヘゴ板やコルクなどに着生させる方が扱いやすいかもしれません。栽培温度は中温ですが、標高の高い所に由来する株では、夏場の暑さをやや嫌う可能性があります。施肥は、薄い液肥を潅水の代わりに与えます。

【栽培者からのコメント】
 この株は、4年ほど前に国際園芸から購入したものです。当初は鉢植えだったのですが、2年ほど前に木の枝に付けました。着生させても問題なく育ちますが、鉢植えで育てた方が花の房が長くなるのかもしれません。夏場は冷房の入る温室で管理していますが、それほど暑さに弱いというわけではない様子です。

栽培・コメント:武井みゆき、武井直義 撮影・記:古城鶴也

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