Japan Amateurs Orchids Society

2023年5月原種紹介

Grandiphyllum divaricatum (Lindl.) Docha Neto

Grandiphyllum divaricatum (Lindl.) Docha Neto


Grandiphyllum divaricatum (Lindl.) Docha Neto


 株についていたラベルは、オンシディウム・ディバリカトゥム(Oncidium divaricatum)です。Kew Scienceのサイトでこの名前を検索すると、シルトキルム・ディバリカトゥム(Cyrtochilum divaricatum)もしくはグランディフィルム・ディバリカトゥム(Grandiphyllum divaricatum)のシノニム(同種異名)だとされています。しかし、同サイトに掲載されている標本写真を見ると、上の写真とは少し異なるようです。
 一方、インターネット・ラン原種百科事典(Internet Orchid Species Encyclopedia)で調べると、オンシディウム・ディバリカトゥムとプルビナトゥム(Onc. pulvinatum)、ロブスティッシマム(Onc. robustissimum)、スフェギフェルム(Onc. sphegiferum)は非常によく似ているとのことです。それぞれの記述と写真を比較すると、葉が楕円形であることや初夏に咲くこと、小型であることなどから、スフェギフェルムが最も当てはまる点が多いように思います。
 もう一度Kew Scienceで調べると、プルビナトゥム、ロブスティッシマム、スフェギフェルムは、いずれもグランディフィルム・ディバリカトゥムのシノニムとされています。そこで、本稿の表題はこれに従った記載としました。
 ブラジル南東部の低山~亜高山に分布する小型の着生らんで、亜高山由来の系統の場合には、夏の暑さを避ける工夫が必要かもしれません。普通は花茎が1m以上に伸びるようですが、写真の株では20~30cm程度しかありません。小型の特殊個体なのでしょうか。

<栽培者から>
 この株は、いつ、どこから入手したのか、よく覚えていません。長い間咲かなかったので、印象が薄れてしまったのかもしれません。今年は何が良かったのか花茎をたくさん出して、小さい可愛らしい花が株を覆い隠すように咲いてくれました。
 栽培管理は、他のオンシディウムやカトレヤに準じています。冬場の最低温度は15℃位。日照は、夏場は75%程度、冬場は50%程度遮光しています。水やりや肥料も、他のらんに与える時についでに与える程度で、特別な管理はしていません。

栽培:齋藤たみ子 写真と文:古城鶴也

原種解説の花過去ページへ トップページへ