Japan Amateurs Orchids Society

2023年12月原種紹介

Thecopus maingayi (Hook.f.) Seidenf. 1983-84

Thecopus maingayi (Hook.f.) Seidenf. 1983-84


Thecopus maingayi (Hook.f.) Seidenf. 1983-84


 本種は、もともとはテコステレ属(Thecostele maingayi)として1890年に登録されましたが、1983年に現在のテコプス属(Thecopus maingayi)へ変更されました。種名はMaingayという人の名前にちなんだもので、一説では英国のらん愛好家だということです。
 原産地はタイ、ベトナム、マレーシアなどのインドシナ半島やボルネオ島などの広い地域で、標高600~700m程度の谷あいに生える樹木に着生したり、斜面に地生しているといわれています。
 バルブは3~5cm程度の扁平な卵形で密生し、先端に薄い革質の葉を1枚つけます。葉は細長い楕円形で長さ10~15cmほど。バルブの脇から15cmほどの花茎を下垂させ、2~3cmほどの花を1花茎に10輪ほどつけます。セパルとペタルは淡い鶯色で、基部や中央に紫色の斑点や筋が入ります。リップは白色で紫色の斑紋や点、筋が入ります。開花期は通常秋ですが、やや不定期咲き傾向があるようです。香りはありません。
 栽培温度は中温性。日陰を好むので夏場は75%以上、冬場でも50%程度遮光をします。鉢の中が常に湿っている状態を好むと言われており、水苔など保水力のある材料で植える方が扱いやすそうです。谷筋に生えている植物なので、常に適度な空中湿度があると同時に、風通しの良い環境を好むことが予想されます。

<栽培者からのコメント>
 らん展で咲いている花を見て気に入り、探して買い求めました。特に暑がるなど気難しい様子はなく、丈夫でよく増え、毎年咲いてくれます。葉に小さい黒い斑点が出るのですが重篤な病気ではないようで、何か栽培環境が気に入らないのかもしれません。

記・写真:古城鶴也 栽培:櫻井 一

原種解説の花過去ページへ トップページへ