Japan Amateurs Orchids Society

2024年3月原種紹介

Cattleya amethystoglossa Linden & Rchb.f. ex R.Warner

Cattleya amethystoglossa Linden & Rchb.f. ex R.Warner


普通種

 今回ご紹介するのは、カトレヤの原種アメシストグロッサ(Cattleya amethystoglossa)です。ブラジル東部の原産で、直射日光が当たるような高い崖の岩上やヤシの木の上に着生していると言われています。
 長いバルブは直立して1m近くになる場合もあるようですが、普通は50cm前後で、カトレヤの原種としては大型の部類になります。バルブの先端に10~20cmほどの楕円形の葉を、向かい合わせに2枚つけます。秋から冬、あるいは早春にかけてバルブの先端から花茎を伸ばし、5~10cm程度の花を5~20輪、ボール状につけます。花の色は下段の写真のように、セパルとペタルは明るいピンク地に赤紫の斑点を散らし、リップはバチ型となって、赤紫色をしているのが普通です。
 しかし、中には色変わりの品種もあり、白地に青紫色の斑点がはいるセルレア(f. coerulea)や、純白花をつけるアルバ(f. alba)などが知られています。上段の写真は、コーラル(coral)と呼ばれているもので、クリーム色地に明るいサーモンピンクの斑点が入る個体です。おそらく、増殖のために人工交配を繰り返しているうちに偶然出現したもので、野生株では発見されたことのない花色かもしれません。

<栽培者からのコメント>
 この株は、3年ほど前にベラビスタ・オーキッドからCattleya amethystoglossa ’Coral’ x ‘Coral’として苗を購入したものです。3年間栽培して、漸く初花を見ることができました。コーラルというので、もっと鮮やかな赤サンゴ色の斑点が入る花を期待していたのですが、パープラタのカーネア(Cattleya purpurata f. carnea)のような色彩でした。珍しいし花色ですが、性質は特に弱いということはないようで、他のカトレヤと同じように管理しています。これからさらに大きく育てて普通のアメシストグロッサの株サイズになったら、どんな花が咲くのか、今から楽しみです。


写真・文:古城鶴也 栽培:高橋洋三

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