今回取り上げたのは、デンドロビウム・モノフィルム(Dendrobium monophyllum)です。種名は1枚葉という意味で、1つのバルブに1枚の葉をつけることに由来しているようです。ほかにも1枚葉のデンドロビウムはありそうで、本種固有の特徴ではないように思いますが、深く追求するのはやめておきます。
原産地はオーストラリアの東部、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で、北部の熱帯地域から南部の亜寒帯地域まで広い地域に分布しています。垂直分布では海抜0mの海岸線から1000mの亜高山に至る地域に自生していますが、熱帯域では亜高山、温帯域では低山、亜寒帯では海岸線という分布かもしれません。陽当たりの良い樹上や岩上などに着生しているとのことです。
バルブは高さ5~10cm、直径2、3cmの紡錘形で、先端に長さ10cmほどの長楕円形で濃い緑色の葉を1、2枚つけます。夏~秋に新しいバルブの先端付近から10cmほどの家計を伸ばし、黄色の小さな花を多数つけます。写真の花は、洋菓子のような甘い香りを強く放っていましたが、香りの質や強弱は、株によって変化があるようです。
栽培環境は、強い日射しと風通しを好みます。自生地の温度は、冬場は7~10℃、夏場は20~25℃といわれており、クールタイプの可能性があります。ただ、直射光下で育つ植物は、陰性の植物に比べれば暑さに強いので、もう少し暑くなっても平気かもしれません。潅水は、暖かい季節はたっぷり与えますが、寒い季節は控え、霧吹きを主体にする方が良いとされています。このほか、水苔などで鉢植えするより板付けにする方が、生育が良いようです。
<栽培者より>
この株は、何年か前にナーセリーイデさんから分けてもらったものです。もともと丈夫なので、それほど気を遣っておりません。但し、このところの夏の暑さは特別なので、真夏は冷房室に入れています。成長は遅い方ですが、環境に適応すると年に2回程咲いてくれます。
文・写真:古城鶴也 栽培者:武井みゆき