Schoenorchis fragrans(ショエノルキス フラグランス)は、インドのアッサム、ミャンマー、タイや雲南省の森林(半広葉樹林帯)の標高500〜1200メートルぐらいの地域に自生する超小型の蘭です。リーフスパンが約1.5~2.0cmの単茎種で、花はさらに小さく、ルーペやマクロレンズを使わないとその形を確かめることができない程です。この小さな花が房状に最大20輪ほど咲くそうですが、今回は1花径9輪の開花でした。花の形は、平たいリップが長く突き出ているのが特徴的で、リップの長さに反してペタルが小さいため、海洋生物「クリオネ」のような可愛い形をしています。名前は、芳香種ですが残念ながらほとんど香りは感じられません。
オルキダリュームの試みとして、25㎝水槽の中に金魚用の白砂利を敷き詰め、その上に水苔を2~3cm敷き詰めた中で7種のミニ蘭を育てていますが、写真の花は、この中の一つが咲いたものです。水槽は、蓋をして密閉状態にしているため、湿度はほぼ100%の環境で、レースのカーテン越しの光線と熱帯魚観賞用のLED照明で照らすという環境です。Schoenorchis fragransはコルク付けしたものを吊るして育てていますが、環境が適しているようで、昨年11月から育て始めてから葉の成長が一回り大きくなっています。オルキダリュームの環境に適した蘭の一つかもしれません。
栽培・記:冨澤 實 撮影:佐藤 攻