Japan Amateurs Orchids Society

蘭友会創立80周年記念パーティー報告

蘭友会創立80周年記念パーティー報告

11月17日(品川プリンスホテルのメインタワー26階〔パール〕)

 いちょうの黄葉も進み秋も深まった11月18日、「蘭友会創立80周年記念パーティー」が品川プリンスホテルのメインタワー26階(パール)にて、来賓28名、会員59名、合計87名の出席を得て盛大に開催されました。会場入り口には会員愛培のパフィオ、カトレヤ、デンドロなど約40株が展示され華やかな雰囲気を醸し出していました。パーティーは斉藤副会長の司会進行で行われました。

清水達夫会長

清水達夫会長

開会挨拶・祝辞

 最初に、清水会長より大約次のような挨拶がありました。
 本日蘭友会創立80周年の記念パーティーを皆様と開催できることをたいへんうれしく思います。ご来賓の皆様方にはご多用の中ご出席いただき、また金沢や岡山はじめ遠方より参加くださった会員の皆様にも感謝します。この催しが皆様の懇親の輪を広げる良い機会になり、蘭友会のさらなる活性化の契機となることを願っております。
 蘭友会は今から80年前の昭和13年に庶民が趣味として蘭を楽しめる会として発足しました。その後戦争の影響で昭和19年には休会のやむなきに至りましたが、戦後の混乱期を経て昭和29年に再開して今日に至っています。昭和62年に向ヶ丘遊園で世界蘭会議が開催され、その数年後には「世界らん展日本大賞」が始まり、この頃が蘭友会だけでなく日本の洋蘭界が一番盛り上がっていたころでした。やがて洋蘭ブームも下火となり、蘭友会においても会員数の減少や会員の高齢化が大きな問題となってきました。このため、若い人に入会してもらい会員数の拡大のために、会報やニュースのオールカラー化、ホームページのリニューアルを行ってきました。
 蘭友会の創立以来の基本理念は、「蘭を楽しむことを通じて人の和を図る」ことです。蘭を楽しむことが最も重要であり、会員の皆様にとって「楽しい会」でなければ、蘭友会の存立の意味がないと思います。またもう一つの理念として、70周年の記念会のおりに遊川知久博士の提唱された、「蘭を守る・知る・伝える」ということを加えさせていただきました。広報活動や蘭展を通じて蘭の普及・啓蒙に努めたいと思います。ご来賓の皆様には、これからもご支援、ご協力をお願い申し上げまして挨拶とさせていただきます。本日はまことにありがとうございます。
 続いて沖縄美ら島財団花城良廣理事長、日本洋蘭農業協同組合合田一之組合長、全日本蘭協会斉藤正博会長から暖かいお祝いと励ましのご挨拶をいただきました。
 その後ご来賓の紹介があり、園芸文化協会小笠原左衛門尉亮軒会長よりのお祝いのメッセージが披露されました。
沖縄美ら島財団 花城良廣理事長

沖縄美ら島財団 花城良廣理事長

日本洋蘭農業協同組合 合田一之組合長

日本洋蘭農業協同組合 合田一之組合長

全日本蘭協会 斉藤正博会長

全日本蘭協会 斉藤正博会長

記念講演

「明治150年 蘭友会80年・ランの来し方行く末」
 国立科学博物館筑波実験植物園 遊川知久博士
 *講演内容は別紙に掲載
国立科学博物館筑波実験植物園 遊川知久博士

国立科学博物館筑波実験植物園 遊川知久博士

祝宴

 日本・蘭協会澤井公和会長の発声で全員で「乾杯」し、拍手に包まれて祝宴に入り、おいしい料理とラン仲間との歓談で楽しい時間が過ぎてゆきました。
 食事の後には清水会長夫人の杵島純子様による声楽コンサートが行われました。「浜千鳥」などの素晴らしい歌に続いて出席者代表8名が参加してのハンドベルの演奏も行われ、会場の大きな拍手を受けておりました。
楽しい時間もあっという間に過ぎて、15時過ぎに佐藤副会長による閉会の挨拶をもって祝宴を終了しました。
その後、記念集合写真を撮影して創立80周年記念パーティーは盛会裡に幕を閉じました。
日本・蘭協会 澤井公和会長

日本・蘭協会 澤井公和会長

杵島純子様による声楽コンサート

杵島純子様による声楽コンサート

ハンドベルの演奏

ハンドベルの演奏

記:滋野智賢  会場撮影:冨澤 實

記念講演 要旨

「明治150年 蘭友会80年・ランの来し方行く末」
 国立科学博物館 筑波実験植物園 植物研究部 
遊川知久博士
「ランを知る・守る・伝えるのいま・むかし」
 10年前の切り口を少し変えてみると、知る―文化をつなぐ、守る―命をつなぐ、種を保つ、伝える―ともに楽しむということで、蘭友会の基本理念の1つに加えていただきうれしく思っています。
「ダーウィンの予言」
 かのダーウィンがマダガスカルのラン科植物 アングレカム セスキペダレの花の特異に発達した長大な距の形状に着目し、その距の奥から蜜を吸い得る長い口吻を持つ昆虫がいるはずだと予想したが、41年後(ダーウィンの死後)にこの距の長さと同等の長さの口吻を持つスズメガ(キサントパンスズメガ)が発見された。そして135年後には初めて実際に蜜を吸うスズメガの写真が撮影されて「証明」された。
「ランはランだけでは生きてゆけない」
 受粉のためには特定の花粉媒介者(ポリネーター)が必要で、発芽のためには特定の「菌」が必要
「ランの多様性減少の現状」
 日本に自生する約300種のランのうち約200種が絶滅危惧種となってしまっている。
「絶滅種シマクモキリソウの復活」
 小笠原諸島の父島で1938年以降採集されず、絶滅したと考えられていたシマクモキリソウが2017年に硫黄島で採集され、2017年11月16日に筑波実験植物園で開花に成功した。
「繁殖技術 いま・むかし」
・1899年 「特定菌」と共生しないと発芽しないことが分かった。
・1921年 「特定菌」がなくとも培地に砂糖を加えることで発芽が可能なことが発見された。
・1963年 「組織培養」による大量繁殖の成功。逆に量をコントロールできない時代になってしまった。
「品種改良のいま・むかし 150年の技術革新」
・1856年 初めて人工交配でつくられた花が開花した。
・2012年 遺伝子組み換えで「青いコチョウラン」が開花した。
・DIYバイオの時代になり、新しい花をつくる「意味」が根源的に問われている。
「ランの楽しみ方の新しい可能性を求めて」
アマチュアならではの楽しみ方の追求
VR(仮想現実)の時代だからこそのコミュニケーション、ネットワークとしての楽しみ方
蘭友会100年を目指してランの楽しさを拡げていただきたい。

記:滋野智賢 会場撮影:古城鶴也

写真で綴るパーティ―の様子

会場撮影:佐藤 攻・古城鶴也・冨澤實


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