Japan Amateurs Orchids Society

2024年6月メキシコの野生蘭

Oncidium (オンシジュウム)Olof Swartz 1800

写真・解説文:齋藤 清

 メキシコから中米、南米のアルゼンチンに至る広域に分布していて、336種を含む大きな属です。Kewの記録では、主なラン属の中で最も古い時期に登録されています。主として黄花が多く、着生するものが大半です。強健種が多く花もちも良いので古くから切り花や、ブラシア、ミルトニア等との交配親として利用されてきました。


Oncidium ensatum(オンシジュウム エンサトゥム) lindle. 1842

Oncidium ensatum(オンシジュウム エンサトゥム) lindle. 1842
 米国のフロリダからメキシコ、中米、カリブ諸島、ベネズエラにかけて自生しています。葉の丈は1mに達するものもあり、花茎は更に長く伸びて多数の小さな花をつけます。メキシコではオアハカ、チャパス、カンペチェ地方の標高1,000mまでの森林に自生していて着生、又は、地生するものが多いです。冬から春にかけて開花します。 米国ではフロリダに自生するO.ensatumをO.floridanumと称していますが、kewではこれをSynonymとしています。

Oncidium geertianum (オンシジュウム ジールティアヌム) C. Morren 1848

Oncidium geertianum (オンシジュウム ジールティアヌム) C. Morren 1848
 メキシコの固有種で、ミチョアカン州を中心とする地域に限られ、標高1,600 – 2,300mのオーク林に自生しています。 夏から秋にかけて開花します。

Oncidium ghiesbreghtianum(オンシジウム ゲスブレグティアヌム)Rich. & Galeotti  1845

Oncidium ghiesbreghtianum(オンシジウム ゲスブレグティアヌム)Rich. & Galeotti 1845
 メキシコの固有種です。 ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、オアハカ州の標高1,400 – 2,300mのオーク林に自生します。 ペタル、セパルは赤紫でリップは大きく濃い黄色をした特徴のある花です。 春から秋に開花します。

Oncidium hastatum(オンシジュウム ハスタトゥム)(Barteman)Lindley 1850

Oncidium hastatum(オンシジュウム ハスタトゥム)(Barteman)Lindley 1850
 メキシコの固有種と考えられていましたが、中米のホンジュラスでも自生が確認されたようです。 メキシコではコリマ、ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、オアハカの各州の太平洋岸に近い標高1,000-2,000mの森林に自生しています。 個体によりセパル、ペタルの模様、色が大きく変わり赤褐色の色が全体の多くの部分を占めている花もあります。 花茎は1m以上に伸びて沢山の花をつけます。 春から夏にかけて開花します。

Oncidium hintonii (オンシジュウム ヒントニ) L.O.Williams 1941

Oncidium hintonii (オンシジュウム ヒントニ) L.O.Williams 1941
 メキシコからニカラグアにかけて分布します。メキシコでは北西部のシナロア、ドゥランゴ、ナヤリ、ハリスコ州の大平洋側、標高750-1,800mのオーク林に自生しています。春に開花します。

Oncidium incurvum (オンシジュウム インクルブム)  Baker ex Lindley 1840

Oncidium incurvum (オンシジュウム インクルブム)  Baker ex Lindley 1840
 メキシコの固有種です。 ベラクルス、オアハカ、チアパス州の標高1,300-2,150mのオーク林に着生しています。 1m近くに伸びる花茎に小さな花を沢山つけます。夏から秋にかけて開花します。

Oncidium karwinskii (オンシジュウム カルウィンスキィ) (Lindle.)Lindley 1838

Oncidium karwinskii (オンシジュウム カルウィンスキィ) (Lindle.)Lindley 1838。
 メキシコの固有種です。 ドゥランゴ、ハリスコ、ゲレロ、オアハカ州の標高1,100 –1,800mの主として太平洋側スロープの森林に自生しています。涼しい場所を好みます。肉厚な花で、柱頭に近い部分は濃いピンク色でその先は白色をしているのが特徴です。 長い花茎に10-20輪の5cm大の花をつけます。 秋から春にかけて開花します。

Oncidium leucochilum (オンシジュウム レウコチルム)Bateman ex Lindley 1837

Oncidium leucochilum (オンシジュウム レウコチルム)Bateman ex Lindley 1837
 メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの標高2,000m付近の森林に着生しています。花茎が長く伸びて多数の小型な花をつけます。 肉厚な花は全開して略同じ大きさのセパル、ペタルは正五角形に揃いバッジのように見えます。 強健種で春から秋にかけて咲く花は長持ちします。

Oncidium maculatum (オンシジュウム マクラトゥム)(Lindle.)Lindle. 1841(Aubl.) Urb. 1918とする説もあります。

Oncidium maculatum (オンシジュウム マクラトゥム)(Lindle.)Lindle. 1841(Aubl.) Urb. 1918とする説もあります。
 メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの標高1,100-2,000mの森林に自生しています。メキシコではサンルイスポトシ、ベラクルス、チアパスの各州に自生し、冬から初夏にかけて開花します。 花もちの良い種です。

Oncidium oblongatum (オンシジュウム オブロンガトゥム)Lindl. 1844

Oncidium oblongatum (オンシジュウム オブロンガトゥム)Lindl. 1844
 メキシコの固有種です。ハリスコ、ゲレロ、オアハカ、チャパス州の大平洋側、標高2,100mまでの山野に自生しています。秋から冬にかけて開花します。

Oncidium sotoanum (オンシジュウム ソトアヌム)R.Jimenez & Hagsater 2010

Oncidium sotoanum (オンシジュウム ソトアヌム)R.Jimenez & Hagsater 2010
 メキシコ、グアテマラ、エルサルバドール、ニカラグア、コスタリカ、パナマの標高1,500mまでの湿度の高い森林に自生しています。直径2mm程の細い花茎は30cm以上には伸びず途中で枝分かれして多数の小型の花をつけます。 花の色は個体により濃淡の違いがありますがピンク系です。 花期は秋から冬にかけてです。
 このランは過去200年に亘りOncidium ornithorhynchumとして知られていましたが、2010年、メキシコの学者Miguel Angel Soto Arenaの研究結果、この種名が別の種に対して命名されたものと分かりOncidium sotoanumに改名されました。 長期間、ペルー原産のOncidium pyramidareと間違われていたのです。 O.pyramidareもその後. O.ornithorhynchumに名称が変わりました。
 メキシコでは未だにO.ornithorhynchumの名が蘭業者の間では一般に使われています。 私も最近この改名を知りました。

Oncidium reichenheimii (オンシジュウム レイシェンへイミ)(Linden & Rchb.f) Garay & Stacy  1974

Oncidium reichenheimii (オンシジュウム レイシェンへイミ)(Linden & Rchb.f) Garay & Stacy 1974
 メキシコの固有種です。ハリスコ、ミチョアカン、ゲレロ、オアハカ州の標高1,200 – 2,300mの森林に自生しています。 冬から春にかけて開花します。 O.karwinskiiと似ていますがO.reichenheimiiはリップの幅が狭く、セパル、ペダルの模様が横縞で花のサイズもやや小さい違いがあります。

Oncidium sphacelatum (オンシジュウム スファセラトゥム)Lindl. 1841

Oncidium sphacelatum (オンシジュウム スファセラトゥム)Lindl. 1841
 メキシコから中米諸国、ベネズエラにかけて分布していて標高1,000mまでの比較的低地に自生しています。 葉の付け根から出る花茎は1mほどに伸びて、2.5cmの小さな花を沢山つけます。 メキシコの地方都市の中心部にある広場の樹木は、着生したO.sphacelatumが五月になると黄色の花を満開に咲かせ市民の目を楽しませます。 大変強健種であり、世界的に園芸用の交配種としても利用されています。

Oncidium stenoglossum (オンシジュウム ステノグロッサム)(Schltr.) Dressler & N.H.Williams  1975

Oncidium stenoglossum (オンシジュウム ステノグロッサム)(Schltr.) Dressler & N.H.Williams 1975
 メキシコから中米のグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドール、ニカラグア、コスタリカに分布しています。 標高1,800m付近の森林に自生しています。 春に開花します。

Oncidium tigrinum (オンシジュウム ティグリナム)La Llave & Lexarza 1825

Oncidium tigrinum (オンシジュウム ティグリナム)La Llave & Lexarza 1825
 メキシコの固有種です。 ハリスコ、ミチョアカン州の大平洋側スロープ、標高1,600-2,500mのオーク林に自生しています。 黄色と茶褐色の縞模様のセパル、ペダルと、大きく開いた黄色のリップが絶妙なコントラストを醸し出して人目を引きます。

Oncidium unguiculatum (オンシジュウム ウンギクラトゥム) Lindl. 1846

Oncidium unguiculatum (オンシジュウム ウンギクラトゥム) Lindl. 1846
 メキシコの固有種です。ゲレロ、モレロ州の標高1,800-2,600mのオーク林に自生しています。 秋に開花します。 O.tigrinumと似ていますが、O.unguiculatumは香りが無く、リップが全体に長く付け根が細くくびれて先が左右に広がっています。

Oncidium oliganthum(オンシジュウム オリガンサム)(Rchb.f.) L.O.Williams ex Correll.

Oncidium oliganthum(オンシジュウム オリガンサム)(Rchb.f.) L.O.Williams ex Correll.
 メキシコ、グアテマラ、エルサルバドール、ニカラグア諸国に分布して標高1,600-2,200mの森林に自生しています。 自生地でも見つけるのが難しい希少種です。

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